研究課題/領域番号 |
23530433
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松尾 睦 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (20268593)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 学習リーダーシップ / 看護師長 / 小売店長 / 公務員 / 内省的実践 / 目標明確化 |
研究概要 |
平成23年度は、看護師長(課長レベルの管理職)の学習リーダーシップに関する定量調査を論文化し、さらに、小売店長の学習リーダーシップに関する定量調査、公務員の学習リーダーシップに関する定量調査を実施した。具体的には以下のとおりである。 第1に、平成22年度に実施した、学習を促す看護師リーダーシップ行動に関する質問紙調査データを基に論文を執筆し、国際学会で発表したところ、Best paper賞を受賞することができた。また、この論文をManagement Learning誌に投稿し、受理された。当該論文は、病棟の学習を促す鍵が「内省的実践の奨励」であること、さらに内省的実践の奨励が、病棟目標の明確化とモデリングの促進によって高められていることを明らかにしたものである。 第2に、優れた小売店長10名へのインタビューを基に質問票を作成し、100名を超える店長に対して質問紙調査を実施した。データを分析したところ、「売り場の内省」「直接指導」「店舗目標」「競合地域分析」「問題社員指導」「仕事の意味内省」といった店長のリーダーシップ行動が、正社員およびパート社員の成長を促していたことが明らかになった。 第3に、国家公務員の課長補佐級の管理職に対して、自由記述式調査および定量的な質問紙調査を実施した。分析の結果、育て上手の管理職は、業務の方向性がぶれないようにした上で、部下に仕事を任せ、議論できる環境をつくると共に、トラブルが生じた際には親身になって相談に乗る傾向にあった。また、彼らは、厳しく指導する際には精神的にフォローを忘れず、注意すべき点は注意するが、適切な仕事は認め、業務が上手くいった場合には、部下の成果として評価していた。これらの特徴は、交換型リーダーシップの特性と一致するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトに深くかかわる以前のプロジェクトのデータを論文化することができ、その上で、小売店長や公務員の管理職といった新しいデータを得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまで看護師、小売店長、公務員の管理職といった対象者に対して調査を実施してきたが、今年度は、営業管理者に対して定性的、定量的な調査を実施したいと考えている。その上で、営利―非営利組織におけるリーダーシップの違いや、職種によるリーダーシップの違いを明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査の趣旨説明、結果報告、調査対象者に対するインタビュー等のために調査旅費が必要になると考えられる。さらに、データの入力やテープ起こしのために謝金・委託費を使用する予定である。
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