研究課題/領域番号 |
23530434
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
吉村 典久 和歌山大学, 経済学部, 教授 (40263454)
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研究分担者 |
堀口 朋亨 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任講師 (20568448)
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キーワード | ドイツ / コーポレート・ガバナンス / 共同決定 |
研究概要 |
本年度は、本来は研究最終年度となる予定であったため、既存研究のレビュー、ドイツにおける最終的な訪問調査(これまでの訪問先への再調査及び自動車関連、機械関連企業への調査)を進める予定であった。 分担者の堀口が特に担当した、ドイツ語圏における関連研究の収集は順調に行われた。ドイツへの訪問については2月末から3月頭に実施された。同国を代表する自動車会社であるBMW社の本社において、法務担当者を対象とした同社における共同決定の実態に関する調査を実施した。くわえて、同社のミドルマネージャーに対しても、その実態についての現場サイドからの意見聴取も実施した。同国の自動車会社としてはダイムラー社に複数回、訪問調査を実施してきた。BMW社とダイムラー社の株式所有構造などを比較した場合には、BMW社には所有の集中があり、また、創業家が経営の中枢にあるとの特徴がある一方、ダイムラー社にはそうした特徴はない。調査を通じて、ガバナンスに関わるこうした重要な差異が、共同決定のあり方や経営層およびミドル層の意思決定のあり方の差異につながっていることが判明した。 これまでの調査の成果については前年度に引きつづいて開催された「第2回 日独企業の経営比較に関するワークショップ」にて、研究代表者・分担者の両名により報告された。くわえて、日独両国の企業経営に詳しいドイツ人ビジネスマン(研究者)による報告も行われた。両報告に対しては、企業統治論や経営戦略論の大家である加護野忠男・甲南大学特別客員教授/神戸大学名誉教授からのコメントもなされた。それを踏まえ、日本経営学会第87回全国大会で本研究の概要の発表を行い、多くの研究者から非常に有益な助言を得た。 また研究代表者は、「第46回比較法政シンポジウム『日本経済の活性化に向けたコーポレートガバナンス』」に講演者の1人として招待され、講演では研究成果の一部が説明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで複数回の学会発表、論文公表を行ってきた。また「研究実績の概要」に記された第46回比較法政シンポジウム『日本経済の活性化に向けたコーポレートガバナンス』」は東京大学大学院法学政治学研究科ビジネスロー・比較法政研究センターが主催し、コーポレート・ガバナンスや会社法に関する雑誌・書籍を多数手がけている(株)商事法務が協力して開催されたものである。そうしたものから特に依頼されて、研究成果の一部を報告を行った。こうした点から、研究は一定の進捗を見せているものと判断している。 ただし、追加的な訪問調査、邦語・邦語以外での成果発表などについては、当初の予定よりも若干、遅れたものとなっている。その大きな理由としては、研究代表者が2013年4月より学部長職につくこととなり、学部内の管理業務に時間を割かざるを得なくなった点をあげられる。それにより、調査希望先とのスケジュール調整は非常に難しいものとなるなど、予定通りに研究を進めることが困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の延長を認めていただけた。必要な現地調査を早急に実施し、その成果を論文・著書の形にまとめていく。 くわえて複数回にわたって、学会発表を進めていく。すでに、日本経営学会の関西部会及び関東部会については、部会事務局より我々の発表申し出に対しての内諾を得ている。また、2014年・企業家研究フォーラム年次大会の「共通論題」の場において、研究成果の一部を用いての「問題提起」を行うことが決定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究対象国であるドイツに複数回訪問し、複数の企業調査を実施する予定であった。しかしながら、調査希望企業の都合、また、研究代表者(2013年4月より学部長に就任)の学務多忙などにより、そうした調査を予定通りには実施することができなかった。 そうした成果を踏まえて学会発表を進めていくことも予定していたが、それも予定通りとはならなかったため。 前年度に予定していたドイツへの訪問調査の実施のために、未使用額をその経費として充当することとしたい。 くわえて、これまでの調査及び追加的に実施する調査の結果を踏まえて学会発表を進めていく予定である。すでに3つの学会にて、発表する機会が内定・決定している。こうした発表に要する経費としても使用する予定である。
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