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2012 年度 実施状況報告書

地域を活性化させる次世代型生産ネットワーク構造設計システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23530441
研究機関北海道工業大学

研究代表者

川上 敬  北海道工業大学, 創生工学部, 教授 (10234022)

研究分担者 湯川 恵子  北海道工業大学, 未来デザイン学部, 准教授 (20420763)
キーワード次世代型生産システム / ネットワーク構造
研究概要

本研究の目的は,ものづくり企業が地方・地域に立地しながらグローバルな生産環境の中で,製品の付加価値創出の意味で地理的距離のへだたりを超越できるような,次世代型生産ネットワーク構造の構築を文理融合型の研究手法により提案することである。
すなわち,地理的には遠距離に分散する生産拠点群をネットワークとして結合し,各拠点が有する多様な経営資源を組み合わせ,連携させることで,距離空間の隔たりを凌駕するような付加価値を創出可能とする新しい生産ネットワーク構造を設計・検証するための理論を提案し,その構造を導出するシステムを開発することが本研究課題の達成目標である。
この目的を実現するために平成23年度の実績成果を基に,平成24年度は以下の研究実績をえた。
具体的には,実在する分散型産業集積が生産文化論や付加価値創出の意味で,立地が目的に合致したものであったかどうかをより精緻に検証することに成功した。そのために体系化された資源と資源の連携構造を「経営資源マップ」として構築した。このマップは物理的な立地に縛られない意思決定ツールとして活用可能なものとして提示され,その性質を明らかにした。
また,地理的隔たりを超え付加価値を生む次世代型生産ネットワーク構造の導出について,付加価値を漸次的に最大化するネットワーク構造の成長過程を計算論的手法により導出するシステムを構築し,実際の大規模な生産拠点データ群を用いてコンピュータシミュレーションを行い,最適な生産ネットワーク構造を導出した。
その結果を考察・検証することによって本システムの有効性を確認し,それらの成果をいくつかの学会にて研究発表を行い,また学術論文としても投稿・採録された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した「研究の目的」の達成度について、平成23年度に引き続き平成24年度の研究もほぼ予定通りに進行したと考えている。
その理由として,研究の第一フェーズとして分散型産業集積の先進例として国内の工作機械メーカ数社を訪問・調査した。そこで具体的には,1)分散型の産業集積を行った目的,2)生産拠点立地選択の要因,および実際には選択されなかった候補地域を聴き取り,分類・整理を行うことで,それらの産業集積が生産文化論や付加価値創出の意味で目的に合致したものであったかどうかを検証することができた。さらに(財)中小企業基盤整備機構が行っている「新連携」に北海道で認定された46件についても整理することができ,これによってさまざまな産業集積例が「地理的隔たりが付加価値を生む次世代型生産ネットワーク構造」を示しているか否かを分類できるようになった点は大きな成果であると考えている。
さらに第2フェーズとして,付加価値創出の源となると仮定した経営資源について,多様な資源を精査し,それらの経営資源マップを試作することができた。
またコンピュータシミュレーションにより経営資源の多様度から創出される付加価値を漸次的に最大化する生産ネットワーク構造の成長過程を導出するシステムについては,仮想的な生産拠点群データのみならず,実際の大規模生産拠点群データを用いて構築したシステムでコンピュータシミュレーションを行い,その導出性能や制度を示すことができた。また調査結果から得られたひとつの実データをシミュレーションシステム上にのせるためにデータ変換を行い,シミュレーションした結果からその有効性も検証されている。
以上のことから,本研究はおおむね順調に進行していると判断する。

今後の研究の推進方策

今後の研究推進計画としては,平成23年度,平成24年度の研究成果を基に,より実用的なシステム構築・整備を行い,実社会で利用可能な研究成果を目指していきたい。
そのために現在までの未解決課題である,本研究で提案している経営資源の多様さが付加価値を創出するという仮定に対する論拠を与え,かつその多様な経営資源をいかに融合させることで付加価値が創出できるのかといったビジネスモデルについて明らかにしていく。このビジネスモデルが提示できれば,現実の世界で意思決定に困っている企業や組織に適切な解を提示できると思われる。またその過程で「経営資源マップ」の持つ性質をさらに詳細に明らかにしていく。
具体的には,1)これまで構築した理論やシステムを分散型生産を必要としている多くの企業・組織に提案し,その実用性や完成度を検証しながら,必要に応じてシステムの修正を加える,2)そこで得られた知見をもとに多様な経営資源をいかに融合させることで付加価値が創出できるのかといったビジネスモデルについての理論を構築する,3)構築した次世代型生産ネットワーク構造の導出システムの処理速度を高め,さらに大規模な構造についても対応可能なシステムへと高度化する。
これまでの研究成果を最終年度は広く国内外の学会にて研究発表を行い,多くのディスカッションにより成果を高めていく。さらにまとまった研究成果については学術論文としてまとめ,権威ある学術雑誌や国際学会において公表する。

次年度の研究費の使用計画

本研究はフィールドワークを主とする社会科学的アプローチと,モデリングおよびシミュレーション技術を駆使する計算論的アプローチを組み合わせた文理融合型の研究手法をとっている。そのため,フィールドワークにおいては,これまでの研究成果を実際の企業や組織に提案・ヒアリングするための旅費・宿泊費として一定金額を使用したい。
計算論的アプローチにおいては,これまで構築済みのシステムがさらに大規模なデータにも対応可能なようにアルゴリズム等を再検討し,システムの本稼働をする必要がある。そのため導入済みの設備である「生産ネットワーク構造検証・設計システム構築用ワークステーション」に付加的な機器を導入するために研究費を使用予定である。
これまでに得られた研究成果については適宜,学会発表を実施していく予定であるため,申請者らの旅費・宿泊費としても使用されていただきたいと考えている。さらに文献資料図書の購入および論文投稿料についても研究の進行および公表に必要なものであると考える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 地域性を活かした生産ネットワーク構造の構築可能性 ―付加価値創出を意識して-2013

    • 著者名/発表者名
      湯川恵子,川上敬
    • 雑誌名

      マネージメント・ジャーナル

      巻: Vol.5 ページ: 43-52

    • 査読あり
  • [学会発表] 付加価値創出のための次世代型生産ネットワーク構造に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      川上敬, 湯川恵子, 丹羽孔明
    • 学会等名
      日本生産管理学会第37回全国大会講演論文集
    • 発表場所
      椙山女子大学
    • 年月日
      20130322-24

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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