本年度は、まず株価モメンタム間における相関関係と買収プレミアムとの関係について、1992年~2013年における日本企業に対するTOB681件を対象に実証分析を行った。その成果を「Bid Premiums and the Interrelation between Stock Price Momentums in Japan: Contrasting Premium Offers and Discount Offers」『常磐国際紀要』第19号、2015年3月、119-190ページに発表した。 その主な研究成果は以下の2点である。①正のプレミアムグループについては、ターゲット企業株価モメンタムが下落しかつTOPIXモメンタムが上昇するときに正の関係が見出される。②負のプレミアムグループについては、ターゲット企業株価モメンタムとTOPIXモメンタムが共に上昇する場合および共に下落する場合において正の関係が見出せる。 さらに、同じサンプルを対象に買収プレミアムと株価モメンタムとの関係性に関する買収プレミアムの測定方法および測定期間によるセンシティビティ分析を行った。その主な研究成果は以下の2点である。①正のプレミアムグループについては、測定期間が長期である場合、いずれの計測方法を用いても、買収プレミアムとターゲット企業株価モメンタムの間において、概して安定的な有意の正の相関関係が見られる。その一方で、測定期間が短期である場合、買収プレミアムと市場株価モメンタムの間において、有意な負の相関関係が見られる。②負のプレミアムグループについては、多くの計測期間および計測方法において、買収プレミアムと株価モメンタムとの間には、有意な負あるいは非有意の相関関係が見られる。
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