平成25年度の研究実績は次の通りである。 1.世界的大規模実態調査データの追加解析:最終年度の研究は,初年度と2年度の課題であった過少データの憂いを解決すべく,大量データの解析に回帰したが,眼目は経時変化である。ICT化による激動のグローバル化時代の2000年を挟む10年間隔で採取した2組の好業績製造企業の世界的大規模実態調査データを,初年度に導入した変位ベクトル等を用いて企業内コミュニケーションの基本特性と品質競争力との関係に関して解析した。 2.今回及び研究期間全体から得られた知見:(1)企業内コミュニケーションの管理と品質創造の管理は同等である。(2)品質創造活動の解明に時間軸を導入し,企業内コミュニケーションの状態と品質競争力との関係を動的に論考した。(3)企業内コミュニケーション状態に対する時間的応答性は製品品質力より製造現場の問題解決力の方が高い。(4)品質競争力と企業内コミュニケーションに関するパラレル・ギャップ現象の存在は外部環境に依存しない。(5)以上により,品質創造経営改善の指針が得られる。 3.今後の展開:企業内コミュニケーション状態の診断は,製造企業にある無数の製品製造の業種・業態によらずに品質創造活動の管理状態を診断できる点で優れている。その基準となる現在開発中のコミュニケーションのモデルIFM(相互作用する場のモデル)構築の完成を目指す。 4.研究成果の公表:The 3rd International Symposium on Operations Management and Strategy 2013 及び,日本品質管理学会第43回年次大会研究発表会で論文集に執筆し,口頭発表した。また,The Journal of Japanese Operations Management and Strategy に論文(査読有)を発表した。
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