研究課題/領域番号 |
23530446
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
芹田 敏夫 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80226688)
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キーワード | コーポレート・ファイナンス / サーベイ調査 / 投資決定基準 / 権限移譲 / 株価水準 / 福島第一原子力発電事故 |
研究概要 |
サーベイ調査に基づいた事業会社の自社株評価を用いて、自社株評価に対する自信過剰が財務行動に与える影響についての実証分析を2011年度に論文にまとめたものを"Managerial Attitudes and Payout Policy: Asymmetric Information versus Overconfidence"(法政大学の胥鵬氏との共著)として論文を改訂し、2012年春に日本経済学会、台北での国際学会で報告した。 2011年7月に行った事業会社の投資決定と財務的意思決定の権限委譲についてのサーベイ調査について、データを分析し、「日本企業が用いる投資評価手法とハードルレート:サーベイ調査に基づく実証分析」と「投資資金配分と財務意思決定の権限委譲-サーベイ調査による分析-」という2つの論文にまとめた(いずれも中央大学の花枝英樹氏との共著)。主な結果として、日本企業が米国企業に比べてファイナンス理論が示す投資決定原理(NPVなど)を用いる頻度が少なく、理論的には望ましくない手法(回収期間など)の頻度が多いという、非常に興味深い事実が明らかになってきた。前者は2012年5月の日本ファイナンス学会で報告を行った。後者は2012年10月の日本経営財務研究学会で報告を行った。 2011年度から始めた2011年3月の福島第一原発事故が株式市場に与えた影響について、実証分析を行い、"Energy stock returns and the Fukushima Nuclear Accidents"(法政大学の胥鵬氏との共著)という論文にまとめた。この論文は、電力会社だけではなく、電力関連企業や代替エネルギー企業にも注目したユニークな研究で、2012年7月に台北で開かれた国際学会と12月にシドニーで開かれた国際コンファレンスにおいて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①サーベイ調査に基づいた事業会社の自社株評価についての分析は、論文にまとめて、国内外で2度発表するなどし、現在最終的な修正をして投稿する準備中で、予定通りに進んでいる。 ②事業会社の投資決定と財務的意思決定の権限委譲について、2011年度に行ったサーベイ調査について、データを整理、分析を行い、2つの論文にまとめた。それぞれ国内の学会で報告した。現在、修正をして投稿する準備を進めており、これも順調に進んでいる。 ③2011年3月の東日本大震災の発生を受けて、新たに福島第一原発事故が株式市場に与えた影響について、論文にまとめ、国内外の学会で2度報告した。現在は修正して投稿する準備中で、予定通りである。 ④日本企業の株価の絶対水準(名目株価)が株価形成に与える影響の分析については、2012年度以降に本格的に取り組む予定であり、この研究ではまだ明確な実証分析結果を得ていない。 以上①ー④の研究の進捗状況から区分(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
サーベイ調査に基づいた事業会社の自社株評価については、これまでの報告で指摘を受けたコメントを基に論文を改訂し、雑誌に投稿する。 サーベイ調査に基づく事業会社の投資決定については、論文を改訂し(英語論文に改訂する予定)、海外の学会で報告し、雑誌に投稿する。 サーベイ調査に基づく事業会社の権限移譲については、報告で指摘を受けたコメントを基に論文を改訂し、雑誌に投稿する。 福島第一原発事故が株式市場に与えた影響については、指摘を受けた改善点を基に論文を改訂し、雑誌に投稿する。 日本の株式市場における株価の絶対水準についての実証分析を行う。日本の上場企業の株価は株式分割が頻繁に行われないために、長期的には株価の絶対水準が上昇し続けており、その要因を実証的に分析し、論文にまとめる。そのために長期の個別銘柄の株価デ ータが必要なため、実証分析の準備としてデータ整理も進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
・関連文献のサーベイのための書籍購入費用 ・国内外での学会等で報告するための旅費 ・データの整理分析補助者への謝金 ・データ分析用に必要なPC関連の消耗品の購入費用 ・英語論文を作成するための英文校正サービスの利用費用
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