日本企業の投資決定についてサーベイ調査論文を作製し、日本経営財務研究学会で報告し、2013年12月のシドニーのコンファレンスでも報告採択されたが、体調を崩して中止した(2014年7月のWorld Finance Conference(ベネチア)で採択され、報告予定)。論文の目的は、日本企業が投資決定手法と資本コスト推定をどのように行っているかを日本の全上場企業にアンケートを行い検証することである。主な結果は、日本企業は、回収期間法を用いる頻度が最も高いのに対して、NPV法やIRR法の利用頻度は低い。これは、欧米やアジアの企業と大きく異なる日本企業に独特な結果である。 日本企業の財務意思決定に関する権限移譲論文の作製、完成した。「現代ファイナンス」に掲載が採択され、No.34(2013年9月)に掲載された。論文の目的は、実物投資、M&A、ペイアウト政策などの財務意思決定権限を実質的に誰が担っているのか、また、企業内の投資資金配分はどのような点を考慮して行われているのか、といった点を、日本の全上場企業にアンケートを行って検証することである。主な結果として、1)6つの財務意思決定の中では、M&Aの権限委譲の程度が最も低く、逆に、設備投資とR&D投資の意思決定の権限委譲が最も高かった、2)トップ経営陣の負担度や企業の複雑性が増すにつれ、権限委譲が進むことが確かめられた、3)事業部門間の投資資金配分については、「マーケット・シェアの維持」、「事業部門長の新規投資に対する確信」、「プロジェクトのキャッシュフローのタイミング」、「各事業部門の過去の投資の収益性」が重要であり、「プロジェクトのNPVに基づくランキング」は重視度が低い、4)権限委譲の程度や資金配分で重視する要因の違いが企業パフォーマンスに影響を及ぼしている可能性が示唆された、が得られた。
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