研究課題/領域番号 |
23530449
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
萩原 統宏 明治大学, 商学部, 教授 (40314348)
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研究分担者 |
田中 克明 摂南大学, 経営学部, 教授 (20155120)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / リスクマネジメント / 信用リスク / 企業評価 |
研究概要 |
2011年度は3度の国際学会における報告「Tests on the change of bond rating tendency by the Lehman Shock」 Southern Finance Association 2011(於 キーウェスト(米国))「Did the Lehman Shock have an impact on consistency of rating information?」ICAOR'11 International Conference on Applied Operational Research (於 イスタンブール(トルコ))「On the Time and Cross-Sectional Consistency of Bond Rating Information Around The Lehman Shock」JAMS/JAIMS International Conference on Business & Information 2011 (於 ホノルル(米国))を行った。いずれも報告について採否が厳格に選考された。その内容を次に要約する。企業評価情報の質を定量的に相対比較する手法を考案することは、長期的な信用不安が継続する昨今、実務界学界、さらに規制当局にとっても有意義なことであると考えられる。格付情報などの企業評価情報は、格付機関の将来予想が含まれた主観的な意見に過ぎないとする立場もあり、この立場に立てば、その正確さという側面から比較することの意義が乏しくなる。そこで、本研究は、「継続性」の観点から比較を試みる。本研究は、非線形モデルによって確保される高い説明力を持った推定構造を前提として、企業評価情報の質の比較を試み、いくつかの有意な事実を確認した。内容は学会のproceedingに掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績報告の概要において列挙した3つの学会報告は、いずれも厳格な選考を経た上で報告が認められたものであるため、本研究の学術的な意義が海外の研究者、学会においても、ある程度以上の評価を得たことを証明していると考える。また、学会の学会に於いては、活発な議論を最新の研究者と行うことが出来、多くの有益なコメントを得ることが出来た。また、報告内容を論文として、複数の査読付論文集に投稿し、そのうちの一つ論文題目「Tests on the transition of rating character around the Lehman Shock」雑誌名 International Journal of the Japan Association for Management Systems Vol4から既に採択の連絡を受けている。2012年度以内にこれは英文査読付雑誌であり、1年目の研究成果に基づく業績としては、当初の計画以上のものを獲得できたと考える。また、別の学術雑誌に投稿した論文題目「On the Time and Cross-Sectional Consistency of Bond Rating Information Around The Lehman Shock」についても、査読者の初回のコメントにより、軽微な修正を経た上での採択の連絡を受けている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、実証研究に必要な最新のデータの入手・加工、データベースの拡張・改善のため、(1)4格付機関の2012年度以降の格付データ、財務データを入手・加工し、最終年のデータをまとめ、分析を行う。平成23年度に引き続き、最新のデータの入手・加工、データベースの拡張・改善を行う。格付、財務データについて、年度別に加えて、業種別などクロスセクション分析も行うことによって、より多面的な分析と経済的含意の抽出が可能になる。そのために必要な追加的データの入手も必要に応じて行い、旧来のデータベースに追加する。次に、分析作業、モデルの性質に対する分析、経済的含意の抽出を行う。平成23年度の作業により推定されたモデルを前提として、格付の利用者にとって有益かつ多面的な情報を生産する。例えば、現状において低い格付を与えられている企業が、格付を改善するために必要な作業、現在の格付を維持するために必要な作業、格付機関を選択する場合の選択基準など、情報の非対称性の緩和に貢献する示唆を行う。また、2008年のリーマンショック以降のデータを新たに加えることによって、時系列・クロスセクション両面から、さらには、リーマンショックのような経済的ショックに対しても、可能な限り頑健なモデルの構造、説明研究群を提示する。本研究がもたらす重要な結果な一つとして、リーマンショックは、昨今の格付に対する批判と疑問視の原因となったが、格付推定モデルの経時的頑健性を確認することによって、その批判が妥当なものであったのか、中立的な立場から定量的に試論を提示できる。例年通り、国内外での学会報告、査読付雑誌への投稿を行う。実務界・学会双方において研究の発展・公表が活発な分野であるために、途中経過である分析結果を、米国、ヨーロッパで開催される国際学会で共同報告し、外部評価の確認に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に引き続き、最新のデータの入手・加工、データベースの拡張・改善を行う。格付、財務データについて、年度別に加えて、業種別などクロスセクション分析も行うことによって、より多面的な分析と経済的含意の抽出が可能になる。そのために必要な追加的データの入手も必要に応じて行い、旧来のデータベースに追加する。その作成作業に引き続き費用が発生し続けると思われる。実務界・学会双方において研究の発展・公表が活発な分野であるために、途中経過である分析結果を、米国、ヨーロッパで開催される国際学会で共同報告し、外部評価の確認に努める。統計的に有意な結果、経済的含意に富む結果が蓄積され次第、査読付雑誌に投稿する。投稿先として、報告学会の査読付学会誌を予定している。それに伴って、ネイティブチェック、渡航・滞在費、投稿費用、通信費、学会参加費等の費用が発生する。
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