研究課題/領域番号 |
23530449
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
萩原 統宏 明治大学, 商学部, 教授 (40314348)
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研究分担者 |
田中 克明 摂南大学, 経営学部, 教授 (20155120)
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キーワード | 国際情報交換 / 信用リスク / リスクマネジメント |
研究概要 |
本研究の主たる特徴は、従来の回帰分析を中心とする社会科学における分析手法とは根本的に異なるニューラル・ネットワークという分析手法を債券格付けの決定構造に対する推定に援用し、モデリングリスクをマネジメントしつつ、格付の性質の経時的な整合性、構造変化について検証することである。2012年度の研究内容は、国際学会における報告2回 「On the transition of Japanese corporate rating structure under the recent credit crises」 EURO2012, Vilnius, Lithuania 「Transition and reversion of Japanese corporate rating structure under the recent credit crises」4th International Conference on Applied Operational Research Bangkok, Thailand July 25-27, 2012 を行った。その内容について、次に要約する。 本研究においては、リーマンショック後のデータベースの拡張に伴って、2010年度の研究を発展させ、リーマンショック以前のデータも包含した2007年度以降のデータベースを使って分析を行った。格付の決定要因については、AltmanのZ-Scoreモデルに基づいた。その結果、格付の決定要因および各要因のウェイトで見た評価傾向の、時系列の面から見た継続性については、S&Pを除く格付け機関3社について、格付の水準において、継続性が疑われる結果が確認され、ウェイトの大きな変動が確認された。これにより、筆者が行ってきた2012年度までの研究成果をより、豊富なデータベースに基づいて支持する結果が得られたことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績として報告した2つの学会報告は、いずれも厳格な選考が行われた上で認められたものであるから、本研究の学術的な意義が、国際的な学会においてもある程度認められたものと考える。学会に於いては、先駆的な研究者から有益かつ貴重なコメントを受ける事が出来、それをもとに、 「Transition and reversion of Japanese corporate rating structure under the recent credit crises」 都題する論文を、Journal of Applied Operational Researchという国際的な査読付き学会誌に既に投稿し、小規模の訂正を行った上で採択を認めるという評価を既に得ており、近日、再投稿の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に引き続き、最新のデータの入手・加工、データベースの拡張・改善を行う。格付・財務データについて、年度別に加えて、業種別などクロスセクション分析も行う事によって、より頑健性のある多面的な分析が可能になる。次に、平成24年度まで構築されたモデルを前提として、格付の利用者にとって有益な情報の生産を試みる。具体的には、リーマンショック前後における、格付決定構造モデルの変化、非継続性に対する批判の妥当性についての議論及び、変化の具体的な内容に関する議論を行う。昨年度に続き、海外の査読付きジャーナルへの投稿、最終的な成果の公表に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
最新のデータベースの入手のために、24年度までと同様に費用が発生することが確実である。また、海外の査読付きジャーナルへの投稿、最終的な成果の公表に取り組むため、ネイティブチェックが昨年度までよりも多く発生することが確実である。また、共同研究の打ち合わせのための出張、あるいは学会出張も数度予定している。
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