研究課題/領域番号 |
23530453
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
佐藤 典司 立命館大学, 経営学部, 教授 (20309090)
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研究分担者 |
八重樫 文 立命館大学, 経営学部, 准教授 (40318647)
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キーワード | デザイン / デザインマネジメント |
研究概要 |
滋賀県伝統産業のブランド化プロジェクト(マザーレイクプロダクツブランド創造)において、多様な参加者がどのような意思伝達、叙述、実践活動を行っているのかについて、前年度に引き続き、参与観察を実施した。 参与観察は、月1回程度開催される全体会合(伝統産業事業者、デザインマネジメントラボメンバーが参加)、個別に開催される会議、各事業者の工房等でのフィールドワーク、プロジェクトのメーリングリストでのコミュニケーション等のソーシャルネットワークでの発話やコミュニケーションを対象に実施した。加えて、マザーレイクプロダクツブランド創造に向けての「Mother Lake」サイトを、4月より立ち上げ、プロダクツの紹介や、滋賀県の観光スポットの紹介、ブランド創造に関係するデザイナーや識者のインタビューコーナーなどのコンテンツを週一回程度、継続的に更新している。コンテンツ充実のために、そのための取材頻度も増え、デザイン関係者とのネットワークも次第に広がりを見せてきた。また、新たな試みとして、東京在の著名デザイナーとも提携し、伝統技術を使用したプロダクトに今日的なデザイン性を付加する作業もスタートした。昨今の消費者動向を考慮した場合、従来のような伝統技術にうらうちされたモノづくりだけでは、消費者の心をとらえることはむつかしいと考え、現代的なデザイン性を取り込む必要があると考えたためである。これによって、参与観察のフィールドもかなり重層的なものになってゆくものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
滋賀県伝統産業のブランド化プロジェクトは、伝統技術を使用したデザインプロダクツの完成後、ホテルの土産物売り場やデパートでの展示会などで、実際の販売をスタートした。また、滋賀県ブランドの創造に向けたサイト『Mother Lake』も継続してコンテンツの充実につとめている。また、プロダクツのデザイン性を高めるために、東京在のデザイナーとも提携し、さらなるデザイン性の向上を目指すこととした。それらの作業に実際に参加し、かつそうした過程を観察するという当初の目的は、ほぼ順調に達成されたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
滋賀県伝統産業のブランド化プロジェクトについて、次年度は、新たなるデザイン性の高い商品開発、流通販売網のいっそうの整備、ブランド力強化に向けたサイトのコンテンツ充実など、次の段階へと移っていく。それらの作業に実際に参加するとともに、研究の最終年度にあたり、そうした過程の観察作業、および分析、まとめ作業などについて予定どおり進めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
参与観察対象のうち、観察対象プロジェクトに関わるメンバーが個別に開催する会議や、各事業者の工房等でのフィールドワークに関しては、移動が発生するため、交通費が必要となる。また、観察記録ビデオの分析にあたり、大学生・大学院生にデータ整理の協力を依頼するための謝金、および、データ整理に供するコンピューター、大量のビデオデータを保存する媒体(大容量ハードディスクやポータブルハードディスク)などが必要である。なお、2012年度に予定していた出張などで、先方都合で実施できなかったものもあるが、その点、次年度には精力的にこなすとともに、未使用分の研究費については、研究最終年度に向けてとりまとめた成果を、Webサイト上で利用汎用性が高いコンテンツとしてまとめ公開する予定であり、そのための制作費用としても使用したいと考えている。
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