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2012 年度 実施状況報告書

企業事故防止のマネジメント -企業社会責任の経営学的実証研究-

研究課題

研究課題/領域番号 23530455
研究機関北海道大学

研究代表者

谷口 勇仁  北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (60313970)

研究分担者 小山 嚴也  関東学院大学, 経済学部, 教授 (60288347)
キーワード企業事故 / リスクマネジメント / 安全文化
研究概要

本研究は4ヶ年計画で実施される.第2年度に当たる平成24年度の研究概要は以下の2点である.
第1に,企業事故の発生メカニズムに関する先行研究の包括的な整理・検討を行った.具体的には,企業事故の発生メカニズムに関連する先行研究を,①ヒューマンエラー研究,②集団思考研究,③リスクマネジメント研究,④高信頼性組織研究,⑤企業倫理研究,⑥技術的逸脱の標準化に分類し,各研究の特徴(分析対象,分析枠組,企業事故の原因,企業事故防止策等)を比較する形で整理した.検討の結果,企業事故が発生した現場に焦点を当てたヒューマンエラー研究,集団思考研究,技術的逸脱の標準化と,現場の背後に存在する組織に焦点を当てたリスクマネジメント研究,高信頼性組織研究,企業倫理研究に分類できること,さらに,企業事故防止に関する議論は主に後者の経営学系の研究において展開されていることを明らかにした.
第2に,手続きの神話化(手続きが通用するための前提を忘却し,いかなる状況においても,その手続きが通用すると認識すること)が事故を引き起こすというメカニズムについて,より詳細な検討を行った.具体的には,神話のダイナミクスを①生成・強化,②崩壊,③解体という3つのフェイズから構成されているとして捉え,各フェイズに見られる特徴について検討を行った.さらに,企業事故防止の指針として,①暗黙化している手続きに注意すること,②経過時間に注意すること,③生産体制の変更に注意すること,④現場の作業パラダイムを理解することなどを提示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

企業事故発生メカニズムの先行研究については包括的なサーベイを完了したが,企業事故防止のマネジメントの先行研究については,予想以上に広範であったため,今年度はリスクマネジメントに限定してサーベイを行っている.昨年度の行った安全文化に加えると,一通り経営学系の企業事故防止のマネジメントに関するサーベイを完了した形になるが,今後も継続してサーベイを行う必要がある.また,ヒアリングについては,谷口(2013)を出版し,企業事故に関連する情報が入手しやすい環境が整ってきたため,これをきっかけとしてヒアリングを行う予定である.

今後の研究の推進方策

平成25年度の研究計画は以下の2点である.
第1に,前年度に引き続き,企業事故防止のマネジメントに関連する網羅的なサーベイを行う.特に,安全文化とリスクマネジメントの関係性に注目し,両者を統合する形で先行研究を整理・検討したいと考えている.
第2に,1~2社を対象としたインタビュー調査である.2次資料を中心として,企業事故防止のマネジメントに関連する具体的な施策をあらかじめ把握し,それらの施策の有効性や問題点について率直な意見交換を行う予定である.

次年度の研究費の使用計画

未消化の研究費(80767円)のうち,大部分(80729円)は共同研究者の分担金である.この分担金は,北海道大学において,研究代表者と研究打ち合わせを行うための旅費に利用する予定であった.しかし,共同研究者の学内業務が非常に立て込んでおり,研究打ち合わせの日程を調整することができなかった.この研究費は,次年度に繰り延べて,研究打ち合わせの旅費として利用する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 企業事故研究の構図と課題 -安全文化は企業事故を防ぐのか-2012

    • 著者名/発表者名
      谷口勇仁
    • 雑誌名

      組織科学

      巻: 45 ページ: 47-55

  • [図書] 企業事故の発生メカニズム -「手続きの神話化」が事故を引き起こす-2013

    • 著者名/発表者名
      谷口勇仁
    • 総ページ数
      185
    • 出版者
      白桃書房

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公開日: 2014-07-24  

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