本研究の目的は,「企業事故防止のマネジメント」を,従来の先行研究の批判的検討と,日本企業を対象とする定性的調査にもとづき,理論的・実証的に解明することである.その際,従来の事故研究に関する知見を踏まえ,企業事故を防止する文化として知られている「安全文化」の醸成要因に注目して,企業事故防止のマネジメントについての検討を試みる. まず,従来の先行研究の批判的検討に関しては,「安全文化」に関連する先行研究であるヒューマンエラー研究と高信頼性組織研究について整理・検討を行った.次に,安全文化の構成要素である「報告する文化」に注目し,「報告する文化」の醸成要因として,記録主義を提示した.
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