研究課題/領域番号 |
23530456
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西出 優子 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60451506)
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キーワード | NPO / 人材育成 / 人材マネジメント / リーダーシップ / 若者・学生 / 社会変革 / ソーシャル・キャピタル / アジア |
研究概要 |
日本を含めたアジアにおけるNPOの人材育成やリーダーシップの実態を解明するため、NPOによる若者や次世代の人材育成、リーダーの取り組みに関するフィールドワーク、参与観察、文献調査を実施した。また、昨年度に引き続き、NPOにおけるボランティア活動を通した次世代人材の成長プロセスを、アクションリサーチを通して分析した。特に、東北で復興に取り組むNPO活動に焦点をあて、単発的活動と持続的な活動による成長の違いや形成されるソーシャル・キャピタルの違いを比較分析した。海外や日本で活躍するNPO・NGOのリーダーによる研究会・視察も開催し、国内外のNPOにおけるキャリアパスやリーダーシップ、人材育成を含めた人材マネジメント、その中におけるソーシャル・キャピタルの役割について示唆を得ることができた。研究会は「NGO・NPOのキャリアとリーダーシップ、企業・社会との関わり-オックスファム・ジャパンの事例-」「国家公務員からNPO職員へ~約5800分の1の見方、約40分の1の見方~」「国際機関(IO)と非政府組織(NGO)に見るグローバル・ガバナンスの限界と可能性」「プランドハプスタンスとキャリアのつなげ方~いつの間にかにNPOの世界に入っちゃいました~」「組織を変える人材とは」「How to Govern the World? Global Governance and Emerging Countries - In Between Political Independence and Economic Interdependence」「国際援助機関イスラエイドによる震災復興活動と人材育成の取り組み」等をテーマとした。これらの調査研究の成果を、国際NPO学会アジア大会、北米公共経営学会、日本NPO学会における研究報告や複数の報告書にまとめて発信することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は、当初、25年度が最終年度となる予定であったが、国内外のNPOに対する調査に関して、一部対象国地域における調査内容にばらつきがあり、比較分析やそれをふまえた考察を行なうことが困難となった。したがって、当初の計画を変更し、26年度に追加調査及び比較分析、とりまとめと最終成果の発信を行なうこととした。 上記の点に課題は残ったものの、25年度におけるそれ以外の調査研究については、おおむね順調に進んできた。 NPOによる若者や次世代の人材育成、リーダーの取り組みに関するフィールドワーク、参与観察、文献調査を実施したり、NPOにおけるボランティア活動を通した次世代人材の成長プロセスの分析を、アクションリサーチの手法で実施した。特に、東北において震災復興に取り組むNPOでの活動や復興構想プロジェクトに焦点をあて、単発的活動と持続的な活動による成長の違いや形成されるソーシャル・キャピタルの違いを比較分析した。 また、海外や日本で活躍するNPO・NGOのリーダーによる研究会・講演会・視察も開催した(日本NPO学会震災特別フォーラム、国際NPOリーダーシップ講演会第3回―第6回、NPOキャリア人材講演会第1回―第5回、NPO研究セミナー第3回ー第4回)。これらの調査研究を通して、国内外のNPOにおけるキャリアパスやリーダーシップ、人材育成を含めた人材マネジメント、その中におけるソーシャル・キャピタルの役割について示唆を得ることができた。 これらの調査研究の成果を、国際NPO学会アジア大会、北米公共経営学会、日本NPO学会における報告や複数の報告書にまとめて発信することができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる26年度は、これまでに実施した国内外のNPO調査に対して適宜必要な追加調査・比較分析を行い、新たな知見をとりまとめ論文や報告書を執筆し、その成果を国内外の学会や学術誌・報告書、シンポジウムやウェブサイトを通して、学界や社会への発信を幅広く行っていく。具体的には、本研究の成果を米国公共経営学会や日本NPO学会等で学会報告を行なうとともに、Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly, Nonprofit Management and Leadership, Voluntasなどの国際学術誌および『ノンプロフィット・レビューなどの国内学術誌に投稿して発信する。 また、「世界と共にある国際リーダーシップ-グローバル・ガバナンスにおける非政府主体の展望」「日米大学・市民活動・社会イノベーション・ワークショップ」等をテーマに、NPOや教育関係者、学生や若者等も対象として研究会を開催し、本研究の成果を実際に活用できると考えられるコミュニティに還元する。学生のNPO活動を通した成長プロセス分析も、東北における復興ボランティアツアーへの参加や企画実施などを中心に、引き続きアクションリサーチを通して行ない、これまでの4年間の試み、成果と課題を比較分析してとりまとめる。さらに、研究成果の概要をわかりやすくまとめて、英語・日本語で報告書を発行し、関連機関に配布するとともに、ウェブサイトでも発信し、本研究の学術的・社会的成果をグローバルに発信していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初は25年度に国内外のNPOに対する調査の最終段階を実施し、その比較分析を行い、最終的な知見・結論を導き出して、シンポジウムや学会における発表や論文投稿を行う予定であった。しかしながら、一部対象国地域における調査内容にばらつきがあり、比較分析やそれをふまえた考察を行なうことが困難となったため、計画を変更し、26年度に追加調査および比較分析、研究の最終成果のとりまとめと発信を行なうこととしたため。 最終年度となる26年度は、追加調査および比較分析、研究成果のとりまとめと、研究会や学会報告、論文投稿、ウェブサイト等、最終成果の発信を行なうこととし、それらの経費に充てることとする。 具体的には、追加調査・比較分析(交通費、調査補助者謝金)、American Society for Public Administration および日本NPO学会年次大会等、国内外の学会における研究成果の最終報告(交通費・大会参加費)および「Nonprofit Review」および「Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly」、「Nonprofit Management and Leadership」などのLジャーナルへの論文投稿(投稿料・英文校正費)、研究成果報告会の開催(専門家謝金・交通費・資料印刷費)、英語日本語による報告書やウェブサイトの構築等(印刷製本費、翻訳費、調査補助者謝金)における研究成果の幅広い発信等に助成金を使用する予定である。
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