地域再生版“The Valley of Death”を克服するための条件を満たす仕組みとして、「地域再生持株会社方式」のようなエクイティ・スキームを導入すべきことを明らかにするとともに、その仕組みや導入プロセスをデザインしてきたのが、前年度までの研究プロセスであった。本年度は、そこで得られた研究成果を全国の自治体、経済団体、有力地場企業等の地域再生の現場において活用できるように、以下の3つのプロセスで地域再生マニュアルを作成した。 (1)エクイティ・スキームの導入に際して生ずる拒否反応や地域内でのコンフリクトを抽出するとともに、それぞれに対していかに対応していくのが望ましいのかを、前橋市、伊勢崎市、長野原町等での実践的活動を参考にしながら明らかにした。各地で深刻な障害要因となっているのは、株式というものに対する拒否反応、前例がないことに対する拒否反応、持株会社に対する出資比率の決定に関するコンフリクト、経営陣の決定に関するコンフリクト等であるが、これらの障害をいかにして解決するのかの分析・考察を行った。 (2)3年間の研究成果をマニュアル化するにあたり、研究成果の普遍性や説得性のチェックを行った。一部の地域や特殊な環境においてしか適用できない要素や現実には実行不可能な要素を抽出し、それをより望ましいものへと修正した。これにあたっては、上記の内容や考え方に関する予備知識をまったく持ち合わせていない各地の自治体職員や経済団体職員へのレクチャーと聞き取り調査によって作業を進めた。 (3)以上のようなプロセスによって得られた研究成果の概要と、実際に企業再生プロジェクトの実施にあたって何をすべきか、そして特に留意すべき事項はどのようなことなのかをわかりやすく解説したマニュアルを作成した。
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