研究課題/領域番号 |
23530466
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
澤木 聖子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40301824)
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キーワード | 日本国の言語政策 / 韓国企業の英語化戦略 / 言語と組織能力 / 企業文化の複層性 / 日本におけるBHQ特区 / 言語コスト |
研究概要 |
平成24年度は、日本企業の英語化の実態を把握するため、多くの日本企業が昇格試験などに導入しているTOEIC(国際ビジネスコミュニケーション協会)の活動内容や、TOEIC試験を採用している日本企業の事例について調査を実施した。 また、本研究の目的にある韓国企業との対比を意識し、韓国において日本のTOEICプログラムと同様の事業を展開している機関、YBM,Inc.の活動状況について学習をする機会を得た。 本研究を計画した背景には、平成14年度から政府が発表した「「英語が使える日本人」の育成のための戦略構想の策定」がある。それから10年を経た現在、現政権は「世界に勝てる若者」を国際人材育成の一環として見据え、就職活動の後ろ倒しや海外留学の推奨策を強化している。また平成24年10月、東京都は、外資系企業のアジアにおけるビジネスヘッドクォーター機能を東京へ誘致する目的で、アジアヘッドクォーター特区を設立し、英語によるビジネス、生活支援を促進するサービス拠点を開設した。本研究計画を提出した当初にはみられない状況が生まれたことにより、研究の問題意識も進化してきたといえる。 本研究では、このような日本国の成長戦略に連動して、企業経営者および人事担当者がグローバル人材の育成をどのように推し進め、外国語を組織能力として如何様に認識しているかをについて調査を深めるという本来の研究目的を遂行してきた。同時に、日本をとりまく海外企業の日本国内における国際ビジネスの実態に視座を置きながら、日本企業のみならず、行政、教育機関を含む社会政策としての異言語への対応を調査していきたいと考えている。以上のような問題意識に基づき、今年度は平成25年度に続く本調査に向けて、ヒアリング項目の変更や質問紙調査票の精緻化を主な作業課題として実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、海外に進出している日本企業の調査を中心に、国内での調査研究を主に実施した。また、韓国のTOEICプログラム実施機関の代表から研究協力を享受すること今後の予定とすることができる状態にある。本来であれば、日本企業との比較を目的とした韓国企業の事例研究のための渡韓を計画していたが、時機的に難しい諸事情が影響し、当初の訪問予定を延期することになった。その点を除けば、おおむね計画通りに進行していると評価される。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、現時点までの研究成果の中間報告をまとめ、関連する研究会や学会の場で報告することを予定しなくてはならないと自負している。 平成24年には、日本の教育機関におけるグローバル人材育成の課題や英語学習に関する社会的関心が高まりをみせた。また、日本の成長戦略と連動した外資系企業の積極的な誘致を目的とした東京都BHQ特区構想が進展するなど、本研究課題の問題意識に関連するさまざまな動きがみられた。そのため、今後の本調査では、上記の観点を調査項目に追加し、日本企業の国際ビジネス環境における言語と組織能力の構築に関する実態を、多角的に捉える必要があると考えている。 研究計画の最終年度に入るため、質問紙調査と事例調査を計画的に進めながら、本研究の総括に入りたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に引き続き、文献資料の購入を予定している。また、旅費としては、海外企業調査のための渡航費、国内企業、関連機関、研究会、学会での成果報告のための出張による支出を計画している。また海外研究協力者への謝金、その他、質問紙調査票の作成費用、郵送料、TOEICプログラムの購入などを検討している。
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