研究課題
いわゆるビジネス・グループ、特に巨大なグループは非関連多角化を製品戦略として追求し、持株会社と子会社という組織構造を維持してきたが、この戦略と組織との特徴に関して、これまで開発途上市場においてのみ、企業の競争力の向上に積極的な役割を果たし、当該国の長期の経済成長に多大な貢献をしてきたとされてきたビジネス・グループを、成熟経済においても競争優位を構築できる理論的な核が整備できたと考える。劣位に陥ると理解されてきた。すなわち、ビジネスグループの戦略転換仮説が従来の一般的な理解である。この科研費による研究は、製品市場の競争環境を所与のものとして、企業内に蓄積された競争資源とその資源を動的に活用する企業に固有の能力に注目して、それらの要素がビジネス・グループを当該国の国内市場だけではなく、国際市場においても競争可能な経済主体に引き上げたことを実証的、理論的に考察してきた。この競争資源あるいは能力は、成熟工業経済における典型的な大企業が保有する製品あるいはその市場に特有なものとは異なり、個別製品を越えた、より機能的な要素、例えば金融・財務、人的資源、マーケティングに関係するものであり、とりわけ組織マネジメントといった企業組織の機能的要素あるいはそれらを統合する能力に関連するものであった。したがって、個別のビジネス・グループがどのレベルの国内、国際競争力を実現、維持出来るかは、通常持株会社形態をとる本社機構が、個別の事業にどのレベルの投資を行うかという資源配分と配分された資源の効率的運用だけでなく、それらの事業単位の子会社をどのように統合することによってグループ全体の競争優位を構築するかが重要であることが研究成果として理解された。
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Economic Research Forum, Koc University Research
巻: 2015-01 ページ: 1-4