研究課題/領域番号 |
23530468
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
勝本 雅和 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (90272674)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 技術経営 / 特許分析 / 経済地理学 / 地域イノベーションシステム |
研究概要 |
初年度である平成23年度は、発明者の住所情報を事業所単位で管理している企業について分析することにより、知的生産マップの作成方法ならびにその分析方法を開発するフェイズである。(1)特許出願において発明者の住所情報を事業所単位で管理している企業(電機メーカー3社、化学メーカー3社)について、1985-2005年度に出願された特許を対象として知的生産マップの作成を行った。作成したデータを用いて共同研究における組織間距離と空間的距離の研究開発生産性に与える影響について分析を行った。その結果、電機メーカーにおいては空間的距離が研究開発生産性により大きな影響を与え、化学メーカーにおいては組織間距離がより大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。(2)日本における研究機関の位置を把握するため、電話帳データを用いた研究機関マップの作成を行い、既存データの約2.5倍の18495件の研究開発拠点を把握することができた。その結果、情報通信産業の研究開発拠点は製造業のそれと比較して都心に立地していることなどが明らかとなった。(3)発明者の住所情報を事業所単位で管理していない企業について、(1)発明者データを他のデータベース(科研費データベース、大学職員録、会社職員録など)とのマッチングにより所属を特定する手法、(2)発明者の住所情報を事業所単位で管理している企業との比較で推計を行う手法の開発を行った。(4)知的生産マップにより地域イノベーションシステムのメカニズムを明らかにする分析手法の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、発明者の住所情報を事業所単位で管理している企業としていない企業を2段階に分け、初年度は前者の、次年度に後者の知的生産マップを作成する予定としていたが、初年度は手法の開発に注力し、知的生産マップの作成は6社程度にとどめ、次年度に全体の知的生産マップを作成することとした。このため知的生産マップの作成自体は遅れているが、プロジェクト全体としては概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の分析結果に基づいて、知的生産マップを作成する。(1)データベースの作成:1981-2005年度に出願された特許について、知的生産マップの作成に適したデータベースを作成する。(2)知的生産マップの作成:(1)で作成したデータベースに対して平成23年度に開発した方法を用いて発明者住所を推定し、知的生産マップを作成する。(3)知的生産への空間的距離、組織間距離の影響分析:作成した知的生産マップに基づき、研究者間の空間的距離や組織間距離が知的生産の生産性に与える影響について平成23年度に開発した手法に基づき分析を行う。(4)地域イノベーションシステムの分析手法の開発:研究開発ネットワークマップの利用による地域イノベーションシステムの分析方法について開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、発明者の住所情報を事業所単位で管理している企業としていない企業を2段階に分け、初年度は前者の、次年度に後者の知的生産マップを作成する予定としていたが、当初予定していた手法では精度に問題が生ずることが指摘されたため、初年度は手法の開発に注力し、知的生産マップの作成は6社程度にとどめ、次年度に全体の知的生産マップを作成することとした。手法の検討は終了しており、予定分の知的生産マップ作成のための費用は、次年度に繰り越して使用する。
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