研究課題/領域番号 |
23530470
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
竹田 明弘 和歌山大学, 観光学部, 准教授 (90330505)
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研究分担者 |
北居 明 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (30278551)
勝山 貴美子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10324419)
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キーワード | 患者経験 / 患者満足 / 患者行動 / 職務満足 |
研究概要 |
本年は、以下2つの点に関して研究を実施した。1.患者行動と患者満足の関係について文献調査するとともに、質問紙調査における質問紙確定作業を行った。2.看護組織の管理について、職務満足と動機づけの関係について整理した。1.について、患者満足研究はすでに数多くあり、満足の影響要因、患者が医療に期待する要因などはすでに明らかになっている。しかし、患者を対象とした満足度調査、とりわけ何らかの尺度を使用して測定した調査の問題点として、満足それ自体が主観的な評価であるということ、反応バイアスの問題などが考えられる。それゆえ、そこで何らかの因果関係が明確になったとしても、看護師のどのような行動が最も患者満足を高めるかについて具体的にフィードバックさせることが難しい。このような調査に付随する限界に対応し、調査の結果を具体的な看護行動へのフィードバックにつなげるために本研究では患者経験調査を採用することを決定した。項目については、医療領域におけるわが国唯一の先行研究である小泉他(2004)を参考に、看護師に対してヒアリング調査することで項目を決定した。 2.看護組織の管理については、職務満足要因、職業価値との関係について抽出するとともに、これまで実施した実証調査を整理した。ここでは、職業価値はキャリアを通じて変動していくこと、その変化のプロセスについては、就業初期にどのような組織管理体制のもとで勤務していたかが重要な要因であったことが明らかになった。また、離職行動については、自身の職業価値が重要な影響要因であった。ただし、看護師不足が叫ばれる現在において、職業価値を考慮に入れて採用することが困難である。それゆえ、職業価値に影響を与える組織管理手法の重要性がよりクローズアップされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.調査対象病院の選定作業に関する遅れが生じた。 2.診療報酬基準の改定が本年度に実施された。病院組織は規制産業であり、その行動自体が制度に大きく影響を受ける。それゆえ、より正確に調査するために、昨年度に実施することを見送った。 これに関しては、倫理審査委員会からの指摘対応など、いくつか避けるべきことが可能であった問題もあった。それに関しては、迅速に対応するとともに、今後の反省としたい。
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今後の研究の推進方策 |
上記の状況を受けて、本年度は患者経験調査、並びに組織調査を並行して行う。また、本調査は同一医療機関に対して年度を越えて2度の調査が必要である。それを考えると今年度中に第一次調査は終了しておく必要がある。また、当初、阪神間、横浜を中心とした医療機関の調査を計画していた。しかし、東海地方、九州地方を中心として、活動期間中に調査に賛同していただけた医療機関もいくつか出てきた。それゆえ、調査の範囲は拡大する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
これに関しては、調査実施の遅れによる、調査出張旅費、質問作成、分析関連費用など調査関連費用の未出費の部分がが大きい。ただし、調査関連費用は本研究を遂行する上で、必要な経費である。その大部分を本年度使用することになる。 本年度、第一次調査を終了する必要がある。それゆえ、阪神間はもちろんであるが、首都圏、東海、九州地方など様々な地域に打ち合わせ研究出張、ならびに調査関連費用が必要となる。昨年度、繰り越ししたうち、2000千円については、出張旅費に、1900千円については分析費用に使用することを計画している。
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