研究課題/領域番号 |
23530471
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
犬塚 篤 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (30377436)
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キーワード | 特許情報 / 特許引用 / 権利維持期間 / 粘着性 / ネットワーク |
研究概要 |
昨年度から本年度にかけては,SECIモデルの2つの象限(表出化と連結化)に関する分析を行っている.まず,表出化に関しては,昨年度後半から取り組んできた特許の権利維持期間に関する考察,すなわち,特許の権利維持期間が長い企業は,表出化の程度が高い企業であると考えた上で,各社の権利放棄パターンに関する分析を行った.その結果は,昨年度末の日本MOT学会での発表に引き続き,情報処理学会電子化知的財産・社会基盤研究会(EIP)でも報告されたが,それ以上の展開が見込めずとん挫した. そこで,今度は特許引用情報を用いて,技術情報の粘着性に関する分析に取り組んだ.まずは,技術情報に関する背景を固めるため,使用される技術的情報(技術処理)の変遷に関する論文を書き,この成果は国際会議(International Conference on Business and Information)にて報告された.この成果をもとに,特許情報の粘着性に関する分析に取り掛かった.情報の粘着性は,知識の表出化や伝達と深く関わる概念であり,それが特許情報においても存在すること,またその先行要因を明らかにすることに成功し,その成果は,日本知財学会や日本MOT学会で報告された.しかし,表出化の程度が異なると見込んでいた「自社-系列」と「自社-系列以外の他社」の間には質的な差異がみられず,研究は再び行き詰っている. また,もうひとつの課題である連結化に関する研究については順調で,知識の連結(ネットワーク)効果をパネルデータを用いて分析した論文を既に投稿し,現在3次審査の段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度までで連結化と表出化に関する分析は終える予定であったが,連結化についてはほぼ終えることができたものの,表出化が想像以上に難しく,通算で3つのアプローチから分析を試みてきたが,未だ完成には至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
表出化に関する研究がやや行き詰っているため,分析を一時中断し,学術論文を読み直すこととしたい.また,ヒントを得るために,関連する内容が議論されている学会や国際会議などに積極的に参加し,内外の研究者と議論する機会を増やしていきたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
上記目的のため,主として国内外での報告,情報収集に使用する予定である.加えて,既に出来上がっているパーツについては,表出化に関する研究の完成を待たず,国際誌への投稿準備を始め,論文校正にも活用したいと考えている.
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