研究課題/領域番号 |
23530471
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
犬塚 篤 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30377436)
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キーワード | 特許情報 / 特許引用 / 粘着性 / ネットワーク / 系列 |
研究概要 |
本研究課題は,SECIモデルの2つの象限(表出化と連結化)を,特許データを用いて検証することである.当該年度は両象限についての分析結果をまとめ,データ同士の接合を検討している予定であった. まず,2つの研究の進捗であるが,連結化に関しては,知識の連結(ネットワーク)効果を,パネルデータを用いて分析した論文が,国内の権威ある雑誌『組織科学』誌より発行された.本研究により,研究開発組織における知の結合メカニズムが解明された.現在は,同論文で用いたデータを用いて Tie Forming に関する研究を推し進めている. 表出化に関しては,2012年度より何度も試行錯誤を重ねてきたが,自動車企業を中心とした技術知識のフローを,特許データによって検出することに成功した.本研究成果は,BAI,PICMETといった国際会議にて報告予定である(採択済).ただし,分析結果の解釈(親会社の違いによる分析結果の違い)が難しく,その理解のための実証データとの接合を必要とする.自動車産業については,親会社と系列取引に関する2次データが存在しており,このデータと分析結果との接合が有益であると考える. 上記をもって,研究課題の主眼である表出化と連結化の2つの象限については,概ね研究成果がそろいつつある.ただし,当該年度の実施予定であったデータの結合に関しては研究代表者が10月に異動したことに伴い,実施が大幅に遅れることになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題の主眼である表出化と連結化については,昨年度までで概ね研究成果を生み出すことに成功している.ただし,平成25年10月に研究代表者が所属機関を変更(異動)することが決定され,同年春季から準備にかかるはずであった実証調査の補助労働者を,調査実施予定期間(平成25年秋季)を含めて継続的に監督することが困難となった(補助労働者は調査準備から関わるため,継続作業が必要となる). まず,新たな補助労働者は,平成26年度より異動後の所属機関において確保できる見込みが立ったため,期間を1年延長した上で改めて調査を再開する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,既に得られた結果と実証データを接合する作業である.現在は自動車企業の特許データを使用しているために,これらの背景を探るための実証調査の準備を開始している. 既に,既存の公刊資料をもとに,自動車企業の系列取引の実態をデータ入力を始めており,これらから得られた結果をもとに,特許情報から得られた分析結果の背景を探っていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年10月に研究代表者が所属機関を変更(異動)することが決定され,同年春季から準備にかかるはずであった実証調査の補助労働者を,調査実施予定期間(平成25年秋季)を含めて継続的に監督することが困難となった(補助労働者は調査準備から関わるため,継続作業が必要となる).新たな補助労働者は,平成26年度より異動後の所属機関において確保できる見込みが立ったため,期間を1年延長した上で調査を再開する予定である. 調査の実施準備およびデータ整理のための補助労働者を雇用し,データ入力用の専用デバイスおよび特許データベースを購入する.さらに,分析用の統計ソフトウェアを購入する予定である.また,国際会議2件の発表(既に採択済),および国内会議への発表・参加のための旅費と参加費を計上する.加えて,国際ジャーナル向けの論文校正代を予定する.
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