• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

開発途上国における連携に基づく多国籍企業の市場展開モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23530475
研究機関九州大学

研究代表者

星野 裕志  九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (60273752)

キーワード国際情報交換
研究概要

本研究は、最終的には開発途上国における連携に基づく多国籍企業の市場展開のあり方のモデルを構築し、有効なアプローチの仕方を提言することにある。研究実施計画2年目の平成24年度は、多国籍企業や援助機関へのヒアリングを行い相互の連携の現状を明らかにすることを活動の中心に置きながら、連携の戦略の有効性と問題点を分析することを計画していた。前者の現状分析に関しては、多国籍企業と非営利組織の連携が進められている国連開発計画(UNDP)のニューヨーク本部と日本事務所と国連グローバル事務局のニューヨーク本部と日本の事務局にヒアリングを行なうとともに、日本での企業の研究会に参加することで、現状と課題についてのさまざまな知見を得ることができた。一方で、今まで得られた知見と考察をまとめながら、途中経過として国際ビジネス学会、アジア経済学会、多国籍企業学会のそれぞれの全国大会において、本研究の内容を報告し、参加者より有益なフィードバックを得ることができた。
・2012年10月27日, ビジネス・NPO・コミュニティ・セクターを超えた協働による価値創造・(cross-sector collaboration) 国際ビジネス研究学会 第19回全国大会, 桜美林大学
・2012年09月22日, 日本企業とアジアにおける共生の戦略―グラミン・国連機関との連携の事例を中心として, アジア経済学会, 国士舘大学
・2012年07月09日, 開発途上国における連携に基づく新規参入, 星野裕志, 多国籍企業学会第4回全国大会, 京都
これらの研究成果の公表は、中間報告ではあるものの研究実施計画の最終年度に予定されていた活動の一部が、すでに実施されたことになる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度の研究計画として、開発途上国における非営利組織と企業の連携による先進事例として、グラミン・プロジェクト(バングラディシュのユヌスセンターとグラミン銀行を中心とするプロジェクト)を訪問して、ヒアリングを行なうことを計画し、3月の訪問を予定していた。しかしゼネストと政治的な混乱による治安の悪化により、外務省からバングラディシュへの渡航自粛勧告が出されたために、ヒアリングを断念した。グラミンの欧米及び日本企業との合弁事業は、セクターを超えた連携として数少ない成功事例とも考えられ、これらの知見から連携の戦略の有効性と課題を抽出することができなかったことは、全体の研究計画において若干の遅れを生じされる結果となっている。
一方で、当初研究予定になかった国際機関(国連人間居住計画)において、本研究の対象となるプロジェクトが進行していることが判明し、詳しくヒアリングの機会が持てたことから、非営利組織と企業の連携の具体的な事例を得ることができたのは、成果として考えられる。今後グラミン・プロジェクトと新たな知見を合わせて、最終年度の研究目標の達成に向けて再検討を行い、全体としての成果に繋げていることを検討している。

今後の研究の推進方策

多くの企業が新たに参入すべき市場として、BRICsなどに続いて開発途上国を志向しながらも、従来の先進国市場モデルからの脱却と新たなアプローチが不十分なために、効果的な戦略を見出し得ていないのが現状である。最終年度にあたって、昨年度から引き続いて多国籍企業の開発途上国における市場展開の事例を調査すると共に、国連開発計画と国連人間居住計画を中心とする国際機関による企業との連携による開発途上国での事業展開についてさらに調査を進めることにより、それらの成功事例から有効な連携の枠組みについての基礎的な要件を抽出する。
過去2年間に蓄積された知見と同時に、従来のセクターを超えた連携の弱点と連携が進まなかった理由を十分に踏まえながら、今後の連携に向けた課題と必要要件を明示する。
最終的には、目標とする「開発途上国における連携に基づく多国籍企業の市場展開のあり方のモデルの構築」をこれらを学会報告と論文の公表を通じて、研究者および関係者との議論を進めることで、政策的な提言につながる価値のある市場展開モデルを提示する。

次年度の研究費の使用計画

最終年度の最終的な目標は、開発途上国における連携に基づく多国籍企業の市場展開のあり方のモデルの構築であり、十分な事例とデータの収集を持って、この作業に入ることになる。その準備段階として、昨年度に予定されていたバングラディシュでのヒアリングが延期されたことから、本出張を含めて多国籍企業と非営利組織の連携の事例を今年度の早い時期から出張を通して蓄積していく。
昨年度の未使用の金額と合わせて、今年度の約101万円の研究予算は、海外を含めた事例研究の出張、国際機関へのヒアリングのための出張、研究発表のための学会出張を中心として、資料の取りまとめの研究補助者の雇用などに使用する予定。現時点では、今年度の予算は予定通り、かつ適切に使用される予定になっている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] ビジネス・NPO・コミュニティ、セクターを超えた協働による価値創造(cross-sector collaboration)2012

    • 著者名/発表者名
      星野裕志
    • 学会等名
      国際ビジネス研究学会
    • 発表場所
      桜美林大学
    • 年月日
      20121026-20121027
  • [学会発表] 日本企業とアジアにおける共生の戦略―グラミン・国連機関との連携の事例を中心として2012

    • 著者名/発表者名
      星野裕志
    • 学会等名
      アジア経済学会
    • 発表場所
      国士舘大学
    • 年月日
      20120921-20120922
    • 招待講演
  • [学会発表] 開発途上国における連携に基づく新規参入2012

    • 著者名/発表者名
      星野裕志
    • 学会等名
      多国籍企業学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20120709-20120709
  • [図書] 多国籍企業と新興国市場2012

    • 著者名/発表者名
      星野裕志、第15章 「連携による開発途上国の参入(BOPビジネスとソーシャル・ビジネス」
    • 総ページ数
      361
    • 出版者
      文眞堂

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi