研究課題/領域番号 |
23530482
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
下崎 千代子 大阪市立大学, 経営学研究科, 教授 (80135003)
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キーワード | 多様な働き方 / キャリア開発 / 女性のキャリア / グローバル人材 |
研究概要 |
今年度の研究実績について、インタビュー調査、研究会、資料収集・文献研究ごとに述べると以下のとおりである。 インタビュー調査については、10名程度のとくに女性について調査を実施した。女性が途中退職せずに働きつづける場合には、資格取得が有効であることが明らかである。しかしながら、子育て終了後においても社会参加する女性は少なくはなく、とくに就業というものではなく、ボランティアや自己の得意分野に関する分野で、ワークライフバランスを保ちながら社会参加する女性が多い。そのようなことからも、女性の労働力化においてはワークライフバランスの確保が重要なことが判明した。 研究会では、テレワーク関係の研究会を開催しており、在宅で勤務する人々が通じようで働く人とは異なる価値観を有することを確認できている。資料収集については、今年度はキャリア開発の文献をレビューすることで、日本だけではなく、先進国においては、ひとつの企業で長期にわたって就業すること自体が困難となる中で、個人価値観そのものが柔軟性を持つ必要があることが最近の動向であることが解明された。そういう意味では、多様な働き方を支援する基底となる価値観がキャリア理論において展開されていることになる。 今年度の研究の新たな展開方向としては、グローバル企業で活躍できる人材として、どのような人材が採用時点で必要であるか、また、就社後のグローバル人材育成には何が必要かなどについての情報収集を始めている。現在の企業の人的資源管理の課題がそのような点にあることが明らかになるとともに、内向き志向の日本人をいかにグローバル人材に変容させていくかが、日本社会の今後にとって重要性を有していることが最近とくに強調されるからである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、キャリア研究のレビューが実施できており、最近のキャリア研究の中心が変化する環境に柔軟に対応する価値観を持つというところにあることが解明された。本研究の目的は、個人のキャリアと価値観との関係を分析することでもあり、理論的な基盤が確保できたことになる。 また、今年度はさらにインタビュー調査を実施しており、とくに女性や若年層等、昨年とは異なる人々を対象としたインタビューが実現できている。これらの調査から、研究目的にもあるように、仕事に求めるものは、各人において異なっており、自己の価値観に基づいた働き方が希求されていることが明らかになってきた。いかいながら、企業の人事制度上はまだまだ働き方の多様性を受容する制度が整備されていないことがわかる。また、今年度はグローバルに展開する企業での人材としてどのような要素が求められているかについての研究を新たに展開した。これは、今後益々必要となる内容である。 以上の点から、本研究は概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の推進方策については、これまで同様、文献研究、資料収集、インタビュー調査、講演会・研究会を並行的に進めていく。今年度で研究をまとめる必要があることから、これまで十分に行えていない分野の研究を進めて完成に向けて進めていく。これまで不十分な点は、統計データについての分析である。日本社会での多様な働き方は実際にどの程度進んでいるのかどうか、統計データでもって確認する必要がある。また、インタビュー調査もこの2年間で有る程度進められてきたが、まだ非正規雇用者、高年齢者、自営業者などは実施できていない。この天を補う必要がある。 また、労働価値観についてのこれまでの調査をサーベイするとともに、今日の論堂価値観を解明する必要がある。この点については、必要があればアンケート調査を実施する。研究会は、企業の人事担当者を招待して、多様な働き方に対する施策について話を聞く機会を設定する。また、グローバル人材育成に関しても企業の施策の在り方を玄奘ら即して検討して、提案できるところまてもっていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究会・講演会については、会場費ならびに講師謝金が必要となる。 インタビュー調査については、遠方になる場合は、旅費等が必要となるがそれ以外は簡単な謝礼を渡す程度で、インタビューについてのまとめについては、アルバイトによる謝金を支払う。また、データ分析についても、院生を補助として謝金を払う。 文献研究については、調査報告書等を入手する必要がある。また、文献コピー等をおこなう。価値観については、報告書だけでは不十分な場合、アンケート調査を実施する。 さらに、研究の中間報告を学会等でおこなう予定であり、それらの旅費・参加費用が必要となる。
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