本研究は、明確な職務を前提とし、欧米で展開されてきた組織的公正理論を、日本企業の強みであるすり合わせ型の職務に応用しようとするものである。本研究の分析結果から、組織成員の公正感は、評価プロセスのみではなく、職務遂行プロセスにおける情報の流れとコミュニケーションからも影響を受けることが明らかとなった。ここから経営の実践レベルにたいする含意を示せば、評価制度を整備するだけでなく、日常の職務における情報の流れ、情報の質、コミュニケーションなどの職務遂行プロセスに留意することによって、組織的公正の認知を高めることができるだろう。
|