次世代育成支援法が施行され,多くの企業でその行動計画をまとめ,それに基づき男性社員も育児休業を取得しながら雇用を継続していると考え,何人位の男性社員がどの位の期間の育児休業を取得し,どのような行動の変化や考え方の変化があったのか。また,育児休業期間はキャリア形成に影響があるのかについて,実証的な研究を行った。 調査方法として,厚生労働省のホームページに掲載されている,次世代育成支援法に基づきその行動計画が基準に適合した一般事業主認定企業から,従業員数301人以上の企業から地域性や業種を考慮しながら,600社を選び人事担当者にアンケート調査を行った。従業員数300人以下の企業は,育児休業を取得した男性社員がいなくても認定されるので除外をした。有効回答数は30で回収率は5%であった。 この調査から明らかになったことは,男性社員で育児休業を取得した人数は毎年1桁で,それも1名や2名が圧倒的である。視点を変えるとむしろ0名という回答の年が多く,まだまだ男性社員が育児休業を取得することは至難であることである。唯一例外的に2010年から2012年まで毎年200人以上の育児休業取得者がいる電機メーカーがあった。3年間で689名の男性社員が育児休業を取得していた。育児休業期間につても,多くの会社が5日間のように短く,2週間までの企業が約半数を占めた。 このような短い期間ではあるが,育児休業を取得した男性社員には仕事の進め方や職場復帰後の仕事観等に変化が見られ,育児休業を取得した効果が表れていることが分かった。 また,育児休業を取得した男性社員を企業に定着させる方策を自由回答で記述してもらったところ,周囲の理解不足,休業を取得しやすい環境づくり,時間外勤務の短縮,休業期間中の生活費の確保を改善する必要が指摘された。これは均等法施行後の女性社員の抱えていた問題と共通であることが判明した。
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