研究課題/領域番号 |
23530500
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
中村 久人 東洋大学, 経営学部, 教授 (30132111)
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キーワード | グローバル企業 / 国際ニュー・ベンチャー / ハイテク・スタートアップ / ボーン・アゲイン・グローバル企業 / 中小輸出企業 |
研究概要 |
平成24年度においては、グローバル経営、中小企業、ベンチャービジネス、ボーングローバル企業、ハイテク・スタートアップ等に関する書籍・資料を渉猟した。また、インドのIT企業(具体的にはインフォシスおよびそれからのスピンオフ企業)の実地調査を行った。当期間中の業績としては以下のとおりである。 1 翻訳書:S.ターマー・カブスギル&ゲーリー・A・ナイト著『ボーングローバル企業論ー新タイプの国際中小・ベンチャー企業の出現』(中村久人監訳、村瀬慶紀・萩原道雄訳、八千代出版株式会社、2013年1月刊) 2 論文:①「ボーングローバル企業とその類似企業の比較ーボーン・アゲイン・グローバル企業とハイテク・スタートアップー」『経営論集』第80号、pp.17-30(東洋大学経営学部、2012年11月30日)、② 「ボーングローバル企業(BGC)の早期国際化プロセスと持続的競争優位性」『経営論集』第80号、pp.17-30(東洋大学経営学部、2013年3月15日)、③「日本企業のグローバル化とグローバル人材の課題ーグローバル・エリートと人材獲得競争を中心としてー」『経営力創成研究』第9号、pp.129-137.(東洋大学経営力創成研究センター、2013年3月16日) 3 研究発表:①「ボーングローバル企業経営に関する理論的研究ー早期国際化と持続的競争優位性を中心としてー」(国際ビジネス研究学会、第19回全国大会、桜美林大学、201要2年10月28日)② 「ボーングローバル企業経営の特徴に関する一考察」(日本マネジメント学会、第66回全国大会、北海学園大学、2012年11月4日)。以上、今年度の研究目的は、研究実施計画に基づいておおむね順調に推移している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、ボーングローバル企業の早期国際化プロセスと持続的競争優位性の源泉について、ネットワーク・アプローチ、資源ベース・アプローチ、国際起業家精神アプローチ、およびメタナショナル・アプローチ(研究開始後に付加)を拠り所に解明しようとするものである。 過年度においては、まず伝統的な多国籍企業論・グローバル企業論の理論的系譜とそれがボーングローバル企業経営論に及ぼす影響について考察を行った。そして、ボーングローバル企業に関する文献レビューと理論的枠組みについても詳細な検討を行ってきた。ボーングローバル企業の概念と国際化アプローチに関しては、上記の4つのアプローチによる検討がほぼ達成されている。BGCの持続的競争優位性の源泉についての研究においても4つのアプローチからの検討が進行中であり、特に資源アプローチと国際的起業家精神アプローチを中心に研究を進めている。 さらに、今後はBGCとその類似企業(特に、ボーン・アゲイン・グローバル企業やハイテク・スタートアップ)との比較、北欧諸国(フィンランド、オランダ、スウェーデン、およびデンマーク)におけるBGCとその支援機関に関する考察、および日本のBGC(テラモーターズとジオ・サーチ)とボーン・アゲイン・グローバル企業(マニーとスミダコーポレーション)のケースについて実地調査に基づいた理論的展開を図る予定である。 さらに、特筆すべきは、これまでの研究業績をもとに2012年9月末日に博士乙論文(経営学)を本研究課題と同タイトルで東洋大学に申請し、2013年2月22日に学位を授与された。来年度は、さらに研究内容を深め、同博士論文をもとに研究書を刊行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度も文献研究とインタビュー調査の双方を行いたい。文献研究では予定通り、資源ベース論を中心にBGCの持続的競争優位性の源泉としてのコアコンピタンスは何かをさらに探求して行きたい。また、国際的起業家精神についてもBGCの創業者に共通した特性を明らかにしたい。さらに、BGCとその類似企業(国際ニュー・ベンチャー、ハイテク・スタートアップ、中小輸出企業、ボーン・アゲイン・グローバル企業等)とを比較検討することによってBGCの特徴をさらに浮き彫りにしたいと考えている。また、北欧諸国のBGCとその支援機関についても先の実地調査を足掛かりにさらに理論的整理を行いたい。 また、インタビュー調査については、前年度は日本のボーングローバル企業およびボーン・アゲイン・グローバル企業の調査が不十分であったので、前者についてはテラモーターズ社とジオ・サーチ社を、後者についてはマニー社とスミダコーポレーションを調査対象として詳細に調査し、その結果を刊行予定の研究書の中で詳細に検討する予定である。 また、平成25年度は当初予定していたオーストラリアでのBGCの実地調査は行わず、その代りにトルコのイスタンブールで開催予定の国際ビジネス研究学会(AIB)世界大会に出席して、海外のボーングローバル研究者の成果を吸収して来る予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も引き続きBGCについての内外の図書・資料および関連分野の図書・資料の購入を行う。実証研究では日本国内のBGCおよび海外ではインドのハイテク・スタートアップの研究を引き続き行うため、企業、大学の研究者、研究機関等の訪問インタビューを行う予定である。また、上記のイスタンブールでの国際ビジネス研究学会への参加で得られた各国のBGC経営の研究内容について情報を精査し、研究の進展に役立てたい。 尚、今年度は98,026円の次年度繰越額が生じたが、その理由は国内のインタビュー調査の回数が少なかったことや予定していた書籍が手に入らなかったためである。この繰越額については、25年度の予算と併せて、国内外企業の調査、海外学会への出席および未入手の書籍の購入等に充てる予定である。
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