研究課題/領域番号 |
23530501
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
安田 武彦 日本大学, 商学部, 教授 (30246805)
|
キーワード | 国際経営 / 文化経済学 / サービス経済 / 国際文化交流 / クリエイティブ産業 / イノベーション / ネットワーク / 東アジア |
研究概要 |
アジアのコンテンツ産業を調査し、その産業構造上の特徴を明らかにした上で、イノベーションを生み出すためのプロセスを分析することが本研究の目的である。これまで、コンテンツとメディア産業におけるイノベーションを創出するためのネットワーク構造とそのガバナンスに関する調査と分析を行ってきた。平成25年度も23・24年度における研究調査を継続し、コンテンツの制作とメディア産業とのネットワーク構造の調査と分析を行った。特に、25年度はコンテンツ制作の上流部分に当たる企画に焦点を当てて、その新しい傾向に関する調査と分析を行った。 平成25年度は、シンガポール、タイおよび香港で現地調査を行い、映像コンテンツなどの企画に関する情報や資料を収集して分析を行った。主として、企画の最も上流にあたる原作と、その原作に影響を及ぼしている要因に焦点を当てて研究してきた。特に、現代思想や現代美術が与える影響に関して、詳しい調査をした。 香港においては、香港だけでなく、中国に向けたコンテンツの調査も行った。またシンガポールでは、シンガポールの動向とあわせて、ASEANにおけるコンテンツとその制作に関する動向の調査も行った。多民族・多文化で形成されているASEANでは、コンテンツの制作において相互にどのような影響を及ぼしあっているのかを分析すべく資料の収集を行った。 さらに政府のコンテンツ産業振興策に関しても調査を継続して行った。シンガポールの情報経済の発展とコンテンツ産業振興策を関連させた論文を研究成果の一部として公表した。またアジアにおけるコンテンツ産業のイノベーションシステムと国際文化交流によるその共進化に関する研究成果の一部を、研究発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、調査および分析の対象とするアジアの国・地域は、シンガポールとその他ASEAN諸国、韓国、台湾、香港および中国である。これまでに、シンガポールと他のASEAN諸国に関する調査は順調に進展しており、分析した研究成果をまとめて、少しずつ研究発表を進めている。 香港および中国、台湾に関する調査は、一時反日デモなどによる日中関係悪化により進展が遅れていたが、予定通りに戻りつつある。韓国に関しても、日韓関係の悪化により若干の遅れはあるが、問題なく調査は進んでいる。これらの国・地域に関する研究は、現在調査ととともに分析を行っているところである。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度も引き続きシンガポールとタイやマレーシアなどのASEAN諸国、香港および中国、台湾、韓国のコンテンツ産業とそのイノベーションシステムを調査し、アジアにおける文化関連財取引の拡大とイノベーションシステムの共進化に関する分析を行っていく。26年度はこれまでの研究調査とその分析結果を、研究成果として順次まとめて研究発表していく予定である。 また日本をオリジナルとするコンテンツとアジアのコンテンツ制作との関係性に関する研究と同時に、欧米をオリジナルとするコンテンツとの関係性に関する調査も引き続き行い、アジアのコンテンツ産業におけるイノベーションシステムの共進化の分析を深化させていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の東日本大震災、24年度の中国および韓国との関係悪化などにより、この2年間の海外調査予定の一部が未だ滞っており、26年度にその滞っている調査を行うためである。また25年度に購入を予定していたPCを26年度購入に変更したためである。 中国、台湾、韓国、ASEANへの調査を行うために、海外旅費として使用する。またPCの購入費用として使用する。
|