研究課題/領域番号 |
23530504
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
井上 隆一郎 東京都市大学, 都市生活学部, 教授 (70438076)
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研究分担者 |
土屋 勉男 桜美林大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20514178)
竹村 正明 明治大学, 商学部, 教授 (30252381)
滝本 優枝 (金井 優枝) 大阪経済法科大学, 経済学部, 准教授 (30330351)
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キーワード | 中小企業 / 知的財産 / イノベーション収益化 / 知財戦略 / リードユーザー |
研究概要 |
本研究では、知的財産を有しながら収益に結び付けられない企業が多数ある中で、収益化を達成した中小企業の成功要因を実証的、理論的に明らかにした。 われわれは先行的な調査で、中小企業が積極的に特許などの独自技術をオープンにしながらイノベーションを促進する一方で、ものづくりのコア部分はクローズドにされていることを発見した。本研究では、中小企業の特許のオープン化(汎用顧客の発見による収益化ステージ)と、ものづくりのクローズド化(技術の開発ステージ)のスパイラルを生み出す戦略、ビジネスモデル、知財管理の在り方を、プロパテントのように特許から直接的に利益をえるようなマネジメントと区別して知財戦略と呼び、その成功要因を抽出した。 それらは次の2つ領域に分かれる。第1に知財創造ステージの活動をケースによって明らかにすることである。第2には、鍵になるのは特許技術をオープンにする相手の選択であり、それが技術的に非常に高度なニーズを要求する顧客、リードユーザーであることである。技術の社会化プロセスとはリードユーザーで磨かれた技術の多様なユーザーへの展開であり、この展開から収益が生まれる。第3には、なぜ中小企業はなぜそのような展開が可能だったのかを実証した。 本研究成果のオリジナリティは次の2つを示したことである。第1に、主に大企業の法務部の仕事であった知財管理は、ここでいう知財戦略という形で中小企業にも可能であるだけでなく、大企業にも導入可能な新たな技術イノベーションの可能性を含んだものである。第2には、技術開発から企業収益の実現を、企業間連携の設計及び戦略の実行の問題である。 本研究の意義ある社会的貢献は次の2つである。第1に、知財管理論が法務だけではなく、経営戦略の問題であることを理解できる。第2に大企業の社内に埋れている知財を、社内ベンチャーの活用により再活性化する方策を提示できる。
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