研究課題/領域番号 |
23530506
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
水野 勝之 明治大学, 商学部, 教授 (70181899)
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研究分担者 |
福岡 英典 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10601817)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ソーシャル・ビジネス / 社会的循環メカニズム / 日本国内でのSBの展開状況 / NPO法人 / 産出要素に対する質的評価法 / 評価方法 / 事例研究 / 健全性評価法 |
研究概要 |
社会的課題の解決を事業とするソーシャル・ビジネス(Social Business: SB)について,SB発展の社会的循環メカニズムを明らかにすることを目的としてきた。具体的実績は次のとおりである。第一に、日本国内でのSBの展開状況を把握し、SBを行う上での問題点を明らかにするため、成功例だけでなく、失敗例の調査も行った。2010年3月に解散したNPO法人「コミュニティプロジェクト・コンソーシアム」(東京都千代田区)の聞き取り調査も行い、失敗要因を明らかにする。実際に聞き取り調査を行った結果、NPO法人が2000年直後ブームで乱立した時に、しっかりした裏付けなしに立ち上げたのが一番の問題点であることが分かった。第二に、ソーシャル・ビジネスの産出要素に対する質的評価法の考案の準備に入った。SBの分野においては、体系だった学問研究が確立されておらず、評価方法としての指標や指数もない。SBは金銭的利益だけでなく、問題解決や社会へ与える影響も評価の基準となるからである。そこで事業・社会の便益を考慮に入れたSBの質的評価法を開発する。個別企業の生産の質の度合いを測る指標(生産の質的指数)をもとに、SB要素・社会的要素を導入し、SB対応の指標を導出しているプロセスに入っている第三に、事例研究としてNPO法人「好浦会」(浦安市)のソーシャル・ビジネスを調査した。浦安市を活動拠点としているNPO法人「好浦会」のSBの実態調査を行ってきた。同NPOは、同NPOの活動を調査することで、SB事例として経営の実態に迫り、SBを継続的に展開していくための条件を明らかにしてきた。以上を踏まえ、ソーシャル・ビジネス実施主体の健全性評価法と参入退出条件の検討に入った。SBを運営していくための評価基準を作成し、SBの参入退出条件を明らかにするプロセスに入っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年の東日本大震災で浦安市は液状化の被害を被り、そこで活動するNPO法人の調査は難しいかにみえたが、被災した時こそ、そうした市民活動が力を発揮したので、調査も順調だった。そのおかげで、全体の研究もおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、1)CSRとしてのソーシャル・ビジネスの展開と実施主体及び実施事業の健全性、2)事例研究:企業のCSR活動とソーシャル・ビジネスの事業化可能性、3)ソーシャル・ビジネスと市民社会の関係、4)ソーシャル・イノベーションの進展度計測と国際比較、5)行政サービスとしてのソーシャル・ビジネスと自治体の役割、6)事例研究:千葉県浦安市のソーシャル・ビジネス政策に見る自治体の役割などの研究を行っていく。その際、2011年度に開発を進めてきた指標を用いて実証分析を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費は学会、調査を予定している。情報収集及び成果発表のために日本NPO学会へ参加するための国内旅費を予定している。首都圏以外でのSBの事例を調査することにより、首都圏SBとの比較研究を行う。年1回2人で出張する。先進事例の調査・分析は、国内のSB発展の参考になるのでアメリカのニューヨークまでの旅費を予定している 他方、謝金等については次のとおりである。・各SBのデータ収集および整理が必要となるのでアルバイトを雇う。データ収集対象は、延べ20か所を予定しており、ひとり2日がかりでの収集、およびデータ編集作業2日として80日分かかる。
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