研究課題/領域番号 |
23530507
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
加藤 志津子 明治大学, 経営学部, 教授 (30202013)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | ロシア / 東欧 / 企業 |
研究概要 |
(1)ロシア企業システムについて口頭発表を2回行った。「ロシアのコーポレート・ガバナンス改革の動向」(2011年5月)。「ロシア企業の体制転換―20年の道程―」(2011年11月)。論文を2本発表した。「ロシア企業の体制転換ー20年の道程」(2012年5月)。「ロシアのコーポレート・ガバナンス―近年の改革の動向と原発企業のガバナンス体制―」(『比較経営研究』2012年掲載予定)。これらにより、(1)ロシアのコーポレート・ガバナンス改革が米国型と欧州型の間で揺れ動いていたこと、(2)体制転換以後のロシア企業システムの変遷において主導的な役割を果たしたのは国家と新興実業家であり、他方、労働者は常に受け身の位置にあったことなどを明らかにした。(2)ポーランドの企業システムについて 2011年11月25日―2011年12月8日の間、ポーランドの現地調査を行った。Center for Social and Economic Research の研究支援を得て、主として中小企業の状況、ならびにCSRの状況についての調査を行った。その結果、概略、次のようなことが明らかとなった。(1)ポーランドにおける中小企業は他の移行諸国と比べて高い発展を示している。その背景としては、歴史的背景とEUによる支援がある。マイクロ企業が企業総数の96%を占めており、一層の発展のためにはより戦略的な経営を必要としている。(2)2005年ごろからCSRへの関心が高まってきている。大手企業と多国籍企業がとくに積極的にCSRに取り組んでいる。中小企業の関心はまだ低い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
企業システムの比較分析の方法について考察を進め、それに基づいて、ロシア企業システムの整理を始めている。同じ方法で、他の3か国についても分析できる見通しが立った。今年とくに焦点を当てたポーランドについては、現地調査でインテンシヴな研究ができ、ポーランド企業の特質の理解が深まった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、リトアニア企業システムに焦点を当てて研究を行う。秋に現地調査を行う。Vitautas Magnus大学(Kaunas)アジア研究センターのZykas教授から研究支援を約束されている。リトアニアの企業システムは、市場経済への適応度が比較的、高く、対外開放度も高いことを特色としている。企業システムに影響を与えている主要な要因としては、EU内にあるが地理的にロシアと国境を接していること、小国であること、文化的にも西欧とロシアの両方からの影響を受けていること、民主主義度が高く、経済は貿易や外資への依存度が高いこと、1939-1989年にソ連社会主義体制の中にあったが、国民の社会主義への親和度は低かったことなどであろう。2008年世界金融危機では深刻な打撃を受けた。リトアニアを通じて、小国の企業システムの在り方を考察にしたい。平成25年度はカザフスタンに焦点を当て、現地調査を行う。平成26、27年度はロシア、ポーランド、カザフスタン、リトアニア4か国比較研究のとりまとめを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費(リトアニアならびに近隣諸国、10月に2週間)35万円。人件費・謝金(Vitautas Magnus大学研究者への謝礼、国内アルバイト料)20万円ロシア・東欧経済経営関係図書29万円
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