研究課題/領域番号 |
23530507
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
加藤 志津子 明治大学, 経営学部, 教授 (30202013)
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キーワード | Business / Russia / Poland / Lithuania / Kazakhstan |
研究概要 |
(1)ロシア企業システムについて。論文3本を公刊し、口頭発表1本を行った。論題は次のとおりである。「ロシア企業の体制転換―20年の道程―」(村岡到編『歴史の教訓と社会主義』2012年5月)。「ロシアのコーポレート・ガバナンス―近年の改革の動向と原発企業のガバナンス体制―」(2012年7月)。「ロシアの新しいビジネス・エリート『プーチンの友』」(http://report.yuken-jp.com, 2012年9月)。“The Nuclear Power Industry in Public or Private Secor: A Comparison of Russian and Japanese Experiences”(2012年10月)。ほかに公刊予定の論文が1本ある。「ロシアのコーポレート・ガバナンス改革」(2013年刊行予定)。 (2)ポーランドの企業システムについて。「ポーランドの企業システム―2011年度現地調査に基づいて」を執筆し、現在査読中である。この論文では、ポーランドの中小企業の現状、CSRの現状を明らかにし、同時に、それらを、ポーランド企業の環境、文化、制度、歴史と照らし合わせて検討すると、整合的に理解でき、同時に、他の旧ソ連・東欧諸国との相違の理由も理解できることを示した。 (3)リトアニアの企業システムについて。Vitautas Magnus大学(Kaunas)アジア研究センターのZykas教授の支援を受けて現地調査を行う予定であったが、Zykas教授との日程調整がうまくいかず断念した。文献研究を通じ、リトアニア企業システムの特徴が市場経済移行度の高さ、EUとの結びつき、ロシアと西欧のブリッジの役割にあるとの仮説を持つにいたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体として、ほぼ予定通りに研究が進行している。ロシア、リトアニア、ポーランド、カザフスタンの企業システムについての実証的な研究と、比較経営研究とりわけ旧ソ連・東欧諸国の企業システムの比較研究についての方法的な研究とを同時並行で行っている。比較経営研究の方法的な研究は未開拓の分野であり、実際上、研究代表者自身、手探りの状態が続いているが、しだいに方向が定まってきたように思われる。すなわち企業の環境、文化、制度、歴史との相互連関の中で企業システムを理解するという方法が有効であるという仮説を持つにいたった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、リトアニア企業システムに焦点を当てて研究を行う。秋に現地調査を行う。Vitautas Magnus大学(Kaunas)アジア研究センターのZykas教授から研究支援を約束されている。リトアニアの企業システムは、市場経済への適応度が比較的、高く、対外開放度も高いことを特色としている。企業システムに影響を与えている主要な要因としては、EU内にあるが地理的にロシアと国境を接していること、小国であること、文化的にも西欧とロシアの両方からの影響を受けていること、民主主義度が高く、経済は貿易や外資への依存度が高いこと、1939-1989年にソ連社会主義体制の中にあったが、国民の社会主義への親和度は低かったことなどであろう。2008年世界金融危機では深刻な打撃を受けた。リトアニアを通じて、小国の企業システムの在り方を考察にしたい。 平成26年度はカザフスタンに焦点を当て、現地調査を行う。平成27年度はロシア、ポーランド、カザフスタン、リトアニア4か国比較研究のとりまとめを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費(リトアニアならびに近隣諸国、10月に2週間)35万円。 人件費・謝金(Vitautas Magnus大学研究者への謝礼、国内アルバイト料)20万円 ロシア・東欧経済経営関係図書15万円
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