2013年度の研究目的は、2011年度と2012年度に収集したデータを用いて研究論文を仕上げ、なるべく多くの学会等で発表し、フィードバックをもとに、ジャーナルへの投稿論文を書くことだった。今年度も順調に進み、研究発表論文3本とジャーナル出版論文2本であった。発表論文で、国内学会が1本、国際学会が2本であった。 研究論文のテーマは、不況勃発直後に企業が持っていたSocial capital(社会資本)やスラック(余裕資源)の存在とその使用がどのように企業業績に影響するかを調べたものである。また、経営者の不況による影響の大きさに関する認識が、スラックー業績関係にどのようにインパクトするかを調べた。 デンバー(U.S.A.)で発表した論文では、スラック資源と不況下での業績の関係を調べた。サンプルは、日本電気小型企業で、経営者への質問紙でデータを収集したものを使っている。前年で使用した財務データを使った分析結果とだいたい同じようなスラックー業績の関係であった。名古屋で発表した論文は、外部的社会資本(External Social Capital)と不況下の企業業績の関係を調査したものである。興味深いことに、外部的社会資本も、スラックとほぼ同じようなインパクトを業績に与えていた。ここまでは、スラックや社会資本等の業績への直接的関係を見てきたが、もう一つの論文では、スラックー企業業績関係にModerating effectsを持つと思われる経営者の不況による影響の大きさに関する認識(Perception)を調べた。スラックー業績の関係は、不況による影響の大きさによって違った関係を持つことが分かった。
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