研究課題
本研究は、コンテンツ産業の価値創造の仕組みについて、ビジネスモデル、コラボレーション、社会ネットワーク論の視点から探求することを目的としている。これを明らかにする調査方法として、公刊資料をもとに構築したパネルデータの統計分析、業界関係者へのインタビュー調査を用いている。研究期間における主な研究実績として挙げられるのが、Strategic Management Societyの国際年次大会で発表した論文である。当該研究は、コンテンツ産業のような高い市場の不確実性に対処するための企業のネットワーク行動がネットワークを結ぶ相手企業のビジネスモデルに応じて異なることを明らかにした。収益の獲得が長期スパンのビジネスモデルをもつ企業とは不確実性が高まった際に、繰り返し同じパートナーと関係を結びやすい。一方で、収益の獲得が短期スパンのビジネスモデルをもつ企業とは、不確実性が高まった際に関係自体を結びにくい。これらの統計的な傾向が音楽産業のパネルデータ分析から明らかとなった。なお、2014年度の主な研究成果は、『ブラックスワンの経営学:通説をくつがえした世界最優秀ケーススタディ』(日経BP社)の出版である。当該研究は、経営学分野における定性研究を通じた理論構築の方法についてまとめたものである。研究の内容は、経営学分野のトップジャーナル(主にAcademy of Management Journal)の学会賞受賞論文の知見と、定性研究の方法論にかかわる知見がベースとなっている。本書籍の執筆にあたり、これまで行ってきたコンテンツ産業の関係者へのインタビュー調査の経験と、先行研究レビューの蓄積を役立てることができた。
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International Perspectives on Business Innovation and Disruption in the Creative Industries: Film, Video and Photography (DeFillippi, Robert and Patrik Wikstrom (ed.)),
巻: Chapter 4 ページ: 50-65
青山学院大学経営学部グローバル・ビジネス研究所ワーキングペーパー
巻: No.2014-2 ページ: 1-15
http://www.waseda.jp/sem-inoue/
http://www.waseda.jp/sem-inoue/graduate_school/index.html