本研究は、企業間の協働を通じて価値を創造する仕組みである「ビジネスシステム」を測定し、これをうまく機能させる企業間関係を日本の音楽産業の分析を通じて明らかにすることを目的とする。注目した点はビジネスシステムを構成する企業がそれぞれ異なる収益モデルをもつ点である。 分析の結果、長期の収益モデルをもつプレイヤーと、短期の収益モデルをもつプレイヤーでは市場の不確実性の変化に対して対照的な関係構築の選択パターンがみられた。また、新人アーティスト創出を促すのはレコード会社と音楽プロダクションの新規の関係であり、収益性を高めるのはレコード会社と音楽出版社の繰り返しの関係であった。
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