研究課題/領域番号 |
23530511
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
七丈 直弘 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (30323489)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | クリエイティブ産業 / 人材育成 / ソーシャルキャピタル / サイエンス産業 / 多様性 |
研究概要 |
研究を開始するにあたり、クリエイティブ産業の中でも、映像制作(特に主として実写を中心とするもの。映画やTV番組など)とアニメーションなどを中心として、その各々における制作プロセスのモデリングを行った。特に、制作者同志が、どのようにコミュニケーションを行うことで制作に必要となる知識の生成・共有を行っているのかを明らかにするため、複数の制作プロセスの事例を産業エスノグラフィーなど中心とした各種調査手法で調べ、その結果のコード化を行った。得られたモデルは次年度以降の分析により、良好な作品(商業性・芸術性など複数の評価ポイントがありうる)を産み出す際の制作プロセスの特徴を抽出し、そのような特徴がどのような経緯で発現したのかを明らかにするための資料として用いられる。また、映像作品データベース(Internet Movie Database など)やヒアリングによって得られた作品制作に関するデータを基に、共同制作を契機として制作ノウハウがどのように伝播しているのか、どのようなチーム編成が制作を成功させるために寄与するのかを主として統計的手法によって分析するため、その基礎データの抽出と整理を行った。また、映像産業と比較するため、サイエンス型産業の諸分野における事例の抽出も文献書誌情報を整理することで行った。得られた事例の分析から、業績の多様性がパフォーマンスに対して与える好影響が推察されたため、その結果を映像産業の分析にフィードバックしようと考えている。以上で得られた成果を総合し、次年度以降に取り組む数理モデリングを行う上での基礎データとして用いる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
映像制作において個々の作業者が行う作業内容のダイナミクスに関しては十分に情報を抽出することが出来た。データベースを利用した映像共同制作に関する書誌情報収集に関しては、既存データベース(IMDB)を活用することにより、広範な事例を抽出することが可能となった。以上の成果は当初の計画を満たしている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、平成23年度に調査対象となった制作プロセスの事例から抽出した特徴が、クリエイティブ業界の中 でどの程度共通しているのかに関しアンケート調査を行う。また。平成23年度に得られた海外の事例を参考にしながら国内外の違いに着目して分析を詳細化する。質問票は、国内の映像制作者(実写映像、CG 映像、アニメ)対して発送し、得られた回答は、因子分析とクラスタリングによってカテゴリーに分類し、属する人材カテゴリーの特徴と、制作手法との間の関連について分析を行う。平成25年度には、データベースから得られたを知見を利用し、共同制作関係によって構成される社会ネットワークの構造的特徴と人材開発の関連性について分析を行う。 データベースの入手可能性という観点から映画を対象とした分析を行う。なお、アニメの制作データベースについては日本動画協会が現在作成中であり、公開され次第活用を試みる。 まず、データベースから制作者(クリエーター)を分析の単位として、作品制作単位での共同制作関係を抽出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に調査対象となった制作プロセスの事例から抽出した特徴が、クリエイティブ業界の中 でどの程度共通しているのかに関しアンケート調査を行う。また。平成23年度に得られた海外の事例を参考にしながら国内外の違いに着目して分析を詳細化する。これらの実施にために、アンケート役務費、データ分析用PC等の調達のために研究費を用いる。
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