研究課題/領域番号 |
23530514
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
岡部 幸徳 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (00465486)
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キーワード | 倫理的問題解決 / 中間管理職 / 可視化 / 意思決定行動設計モデル / 国際情報交流 |
研究概要 |
平成24年度は前年度のインタビュー調査によって得た「意思決定者はその人物固有の法則に沿った意思決定フレームワークを持つ」という可能性をより明確にすることを目指し調査を重ねた。調査方法を2つに分け、Aケースシナリオ回答、B,倫理的問題の解決についての実体験聞き取り調査とした。Aは半構造化、およびBは非構造化面接の形態をとり、1名の回答者につきA、B両方の任意回答を求めた。B方法の成功体験の収集において共通の要因の特定に至ることは容易ではない。また実体験は非常に重要な情報ではあるが、主観的判断が入るものである。その点を可能な限り客観的な見方によっても検証することを目的として、A方法を行うこととした。シナリオを用いることにより、実体験ではない形の意見を収集しうる。それぞれの被験者が同様のケースを検討することで共通項を抽出しやすくなる。この点においてB方法との共通点も見出しうる。この調査方法に変更をしたことで以下の知見が得られた。昨年度の研究実績で仮説として列挙した要因を裏付けるものではないが、今年度の成果として1点興味深い点をあげる。調査Aすなわち「ケースシナリオ回答型」において考える意思決定要素の中には「責任転嫁成功の可能性(つまりは「言いわけ」)」を考える割合は低い。Bにおいては、事象進捗のタイミングの違いこそあれ、ほとんどの回答で「責任転嫁成功の可能性」を探るのである。疑似的事象を用いた調査方法が要因である可能性があるが、意思決定の違いを明確にするという点において、この相違点のさらなる検討を平成25年度にすすめたい。これらの研究経過を中間発表として、2013年3月18日に日本経営倫理学会の教育研究部会において行った。また、2013年6月16日に行われる日本経営倫理学会第21回研究発表大会での研究発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度では「フェーズ2の予備調査最終段階」から、フェーズ5の「本調査の実施」までを目指した。フェーズ2についてはおおむね予定通り終了した。フェーズ3、および4については現在調査内容の分析中である。これは調査形式をA,Bの2つに分け1名について2つの回答を得る形式に変更したためで、この方法は当初予定の2倍の時間を費やすことに起因するものである。また、本年度の本研究の継続的改善検討事項として次の点をあげておく。被験者が、非構造化もしくは半構造化されたインタビュー形式や、ケースシナリオ方式の調査になじみが薄かったため、調査用紙の回収に時間がかかった。また、それを理由に回答を辞退する者が出た点をあげておく。この点の1つの改善方法として、ケースメソッド形式の調査やそれを活用した研修方法についてのテキストを作成することで改善を促す。また、本研究の調査報告を同書に掲載することで報告書として位置付けられるものになる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はまず、上記の研究経過を中間発表として2013年6月16日に日本経営倫理学会研究発表大会(於:白鴎大学)で研究発表する予定である。 その後、ケースシナリオを用いたA調査を実施これまでよりも多くの被験者を対象に実施する。回答者の倫理的問題解決の成功経験を収集するB調査は、AGORAシステムをデータベース利用し、事例教材として蓄積する作業に入る。現在、同システムはVer3が稼働しており、日本語化の作業中である。ただしVer2については活用可能であるので、IIIの使用、IIの使用の見極めは本年度後半に予定する。本年度後半より、フェーズVの一般管理職の調査を開始し、回答の収集・分析に入る。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度では中間管理職の倫理的問題解決のための可視化を実現するための方策の一つとして、ケースシナリオを活用した倫理問題解決のためのケースメソッド型研修の実践テキストを制作する。本研究調査の報告も合わせて掲載することにより、本テーマの社会的理解を広げる(出版費用100万円を予定)。 また、インタビュー方式の研究調査であることを鑑み、いわゆるワードカウンターソフトウェアを購入する予定である(20万円を予定)。また、インタビューやアンケート調査のため、情報収集および研究に対する意見収集を目的とした国内外旅費を45万円程度計上しておく。
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