平成24年度までの本調査は、被験者多くが非構造化もしくは半構造化されたインタビュー形式や、ケースシナリオ方式での調査になじみが薄く調査用紙の回収に時間を要した。また、回収した用紙についても半構造化された質問用紙である為、その取りまとめに時間がかかることが想定された。そのため調査用紙の効果的な調査情報整理をその分析に優先し、以下の2点の進展を図った。 1.調査に関するデータベース整備、プラットフォームとしてのAGORAIII開発促進平成23年度から蘭国3工科大学が開発するEラーニングシステムAGORAIIIを、本研究のデータ蓄積ツールとして活用できるようすすめていたが、平成25年度10月から試験運用が可能となった。平成26年度から、いよいよ全面使用が可能となった。シナリオを活用したA,B両調査回答済用紙を蓄積する。A調査は、さらにサンプル数を増やす必要があることから、AGORAシステムを介して回答する方法に変更し研究を進める。B調査は3年間のインタビューを踏まえ、事例教材として蓄積する作業に入る。これらの事例はAGORAシステムで活用し、本学科学技術応用倫理研究所のHPで公開する予定である。なお、1つの研究会、1つの学会においてソーシャルメディアとしてのAGORAシステムについて報告し、コメントを得た。 2.調査手法であるケースメソッド教授法の社会的理解向上の為のテキスト書籍作成出版 本研究で最も困難を極めたのが、「ケースメソッド教授法」で用いるケース事例を活用した調査方法の認知度の低さに起因する障害の発生であった。具体的には本調査の使用シナリオはオープンエンド回答になるものであるが、多くの被験者が唯一の正解を求める言動を発している。この問題を解決する即効性を持った対策はないが、今回の調査手法を広く社会に理解してもらう為にケースメソッド教授法の入門書を作成出版した。
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