研究課題/領域番号 |
23530515
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研究機関 | 長野大学 |
研究代表者 |
河野 良治 長野大学, 企業情報学部, 准教授 (30350424)
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研究分担者 |
岩田 一哲 弘前大学, 人文学部, 准教授 (70345859)
池田 武俊 千葉商科大学, サービス創造学部, 准教授 (40381438)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 起業家 / コンピテンシー / employability / 経営者能力 / 実証研究 / ベンチャー企業 / 起業家教育 / 人的資源管理 |
研究概要 |
本研究の目的は、起業家教育に資するため起業家の能力を明らかにすることである。特に、本研究では起業家の「曖昧な仕事に対応する能力」に注目する。曖昧な仕事はストレス源であり、起業家はそのストレスに耐えつつ能力を高め、巧みに曖昧な仕事に対応することが求められる。こうした人材をいかに育成するのか、単に知識や技能の視点からだけではなく、コンピテンシー論の視点から実証的調査を行い、解明していく事を本研究の中心的課題としている。 こうした研究目標にしたがって、平成23年度は、大きく二つの目標を持って研究を進めてきた。第一に、これまでの研究成果を発表し、より多くの研究者から有意義な指摘を得た。具体的には、日本経営学会全国大会、日本中小企業学会全国大会、日本ベンチャー学会全国大会で発表を行い、有意義な指摘を得た。本研究に隣接する研究として「起業家の心理」に関する研究蓄積があることや、その文献を紹介していただいた。その結果として、こうした研究分野が学問的意義だけでなく今日の日本において実践的な意義が非常に大きいことが確認できた。 第二に、発表の機会を得ることができて多くの指摘を受けることができ、コンピテンシーに関する理解をより深める指摘を得ることができた。一例を挙げると、本研究では、既存研究を基にして、大きな成功がある種のコンピテンシーを形成する大きな要因であると考えているが、多くの経営者は成功よりも失敗を多く経験しているとの指摘を得た。こうした指摘を受けて、成功を主体的認識することの意味を捉え、今後の調査に役立つ概念の整理への糸口を得ることができた。こうした理論的枠組みの進展は、今後実施される調査に活かされ、より良い調査の実施につながるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
学会発表やこれまでの研究成果を論文としてまとめ上げる過程を通してより精緻かつ有用な概念整理を行うことができた事は、大きな前進ではないかと考えてる。新たな研究分野を教えていただけるなど、概念枠組みをさらに強固なものとしつつ、より幅広い観点から検討する切っ掛けを学会発表が与えてくれたことは評価できる。こうした概念枠組みの整理が整う一方で、質問表作成が未だ十分に進行していないことは若干心配が残る。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究目標は、二つある。平成24年度における本調査最大の目標は、大規模なサンプル(中小企業経営者、役職者、従業員、非正規従業員)に対するネット調査の実施である。平成25年度には、起業家に対する郵送法でのアンケート調査を実施する予定になっている。この二つの調査が本研究の中心的作業になるが、調査デザイン上、二つの調査に大きなタイムギャップが存在することは望ましくない。そのため、平成24年度に実施する予定のネット調査は可能な限り遅い時期に、平成25年度のアンケート調査は早い時期に実施されることが望ましい。つまり、平成24年度の研究課題は、平成23年度に引き続き、より良い質問票の作成を行いながら、プレ調査を実施して、二つの調査で使われる調査票をより良いものにしていくことにある。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費は、第一にネット調査の実施費用、第二に調査質問票のプレ調査やインタビュー調査のための旅費に充当する予定である。
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