研究課題/領域番号 |
23530517
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
中野 幹久 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (70351690)
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キーワード | サプライチェーン・マネジメント / パフォーマンスのトレード・オフ / トレード・オフの克服 / プロセス能力 |
研究概要 |
平成24年度は、当年度初めに提出した「研究実施状況報告書」で説明した通り、研究目的に掲げた3つのテーマ、(1)サプライチェーン・マネジメントに関する各種のアクション・プログラムが基盤能力、競争力、財務のパフォーマンスに結びつく静態的な因果関係の詳細なモデル化、(2)競争力のパフォーマンスに見られるトレード・オフを克服する動態的なパターンの整理、(3)競争力を累加的に強化する現象の検証の内、動態的な研究である(2)と(3)をテーマから外し、静態的な研究である(1)に注力した。 (1)のモデル化については、平成23年度に実施した5つの業務プロセス(製造フロー管理、需要管理、注文充足、顧客サービス管理、顧客関係管理)に加えて、サプライヤー関係管理と製品開発の2つを追加した。モデルの構築過程では、文献調査とインタビュー調査を実施した。文献調査については、SCMに関する企業事例が豊富に掲載されている『月刊ロジスティクス・ビジネス』を中心に、生産管理やロジスティクス管理の主要なジャーナルと関連図書を加えて行った。インタビュー調査については、これまで中心的に行ってきた花王を含めて、モデルの外的妥当性を確保するために、自動車、精密機械、一般機械、電気機械、化学、医薬品、食品、飲料といった様々な業界の実務家や有識者へのインタビュー調査を計15回行った。 並行して、構築したモデルを踏まえて、企業へのアンケート調査を行うための質問票を作成し、実務家へのプレテストを7回実施した。プレテストで実務家からもらったコメントを踏まえて、質問票を改良し、来年度に実施するアンケートの実査への準備を行った。 なお、平成24年7月にオランダ・アムステルダムで開催されたP&OM World Conferenceに参加し、学会発表と情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画変更後の中心的な研究テーマである、(1)サプライチェーン・マネジメントに関する各種のアクション・プログラムが基盤能力、競争力、財務のパフォーマンスに結びつく静態的な因果関係の詳細なモデル化について、モデル化を終え、来年度はモデルの実証に移る。 平成24年度の初めに立てた研究計画からの遅れはなく、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に構築したモデル(サプライチェーン・マネジメントに関する各種のアクション・プログラムが基盤能力、競争力、財務のパフォーマンスに結びつく静態的な因果関係を示すモデル)について、平成25年5月(予定)に企業へのアンケート調査を実施する。対象は、日本の製造業者2-3千社を予定しており、100-200社の回収を見込んでいる。回収後、データの統計分析を行うが、分析結果の理解を深めるために、アンケート回答企業数社へのフォローアップのインタビュー調査を行う予定である。加えて、モデルの外的妥当性を確保するために、さまざまな業界へのインタビュー調査を今後も継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず、次年度使用額については、昨年度の実施状況報告書にも記載した通り、東日本大震災の影響があり、当初予定していた、特定企業へのインタビュー調査を中心とした研究から、アンケート調査を中心とした研究への変更を予定している。実査には業務委託費用がかかるため、その分を残したものである。 物品費については、主にアンケートデータの統計分析を行うためのパソコンの購入、アンケート関連の封筒の購入、SCMに関する企業事例が掲載されている雑誌、生産管理やロジスティクス管理の関連図書の購入を予定している。 旅費については、アンケート回答企業へのフォローアップやモデルの外的妥当性を確保するためのインタビュー調査、国内・国際学会での研究発表・情報収集の出張での使用を予定している。 人件費・謝金については、主に旅費で記載した調査に対する謝礼での使用を予定している。 その他の費用については、主に調査会社へのアンケートの実査およびアンケート回答企業への報告資料の作成・配送に関する業務委託費、英語論文や英語発表資料の校閲委託費、文献複写費、学会参加費としての使用を予定している。
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