研究課題/領域番号 |
23530521
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
江島 由裕 大阪経済大学, 経営学部, 教授 (00382359)
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研究分担者 |
山田 幸三 上智大学, 経済学部, 教授 (40240014)
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キーワード | 革新的中小企業 / 経営変化 / 企業成長 |
研究概要 |
本研究の狙いは、国や地域の経済発展の主要な担い手として期待されている成長可能性を秘めた創造的かつ革新的な中小企業のマネジメントの鍵を、経時的な変化に注目をしながら定量調査を通じて分析して一定の知見を導き出そうとするものである.そのために初年度調査(平成23年度)で実施した経営革新企業の2時点調査データベースの再整理とデータマイニングを引き続き行いつつ、特に、2年目(平成24年度)においては、それら企業の存続確認と基本属性更新調査をwebサイトならびに新聞/雑誌検索などを通じて実施し、立地場所や住所、企業名称や企業規模(従業員規模や資本規模)などの改定作業も同時に行った.また、更新した企業情報をベースに継続的に成長を続ける上位企業グループや低迷を続ける下位企業グループの特定とその経営の特徴についても議論を重ねて、本研究の最終年度(平成25年度)に実施を予定している3時点調査の分析枠組みと具体的な質問項目決定の参考にした.なお、研究2年目(平成24年度)には成長中小企業やアントレプレナーシップ研究でフロンティアを行く米国や英国の最先端の研究動向にも引き続き直接触れながら、当該研究の基盤となる理論研究や実証研究の知見の厚みを増やす取り組みを行った.そして、関連する国内外の研究成果について継続的に研究会や研究打ち合わせを通じて報告や議論を交わしながら、革新的な中小企業の持続可能な成長を促進させるマネジメント諸要因に関わる仮説構築やモデル構築についての考察を行ってきた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の2年目の主要な目的の一つが、最終年度に予定している3時点調査に向けた調査対象企業情報の精査や更新と、調査分析枠組みと具体的な調査項目の検討であった.具体的には、これまでの2時点企業調査で把握した経営情報に関わって、立地、企業属性、存続などの更新調査を個別企業のwebサイトや企業情報サイトならびに新聞/雑誌などを通じて把握する狙いがあったが、ほぼ予定通り実施することができた.また、更新した企業情報データや先行する関連諸研究の成果や研究動向などを踏まえて、経営革新企業の3時点調査の分析枠組みと調査項目についての検討もほぼ終えることができた.
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今後の研究の推進方策 |
当該研究活動の最終年度(平成25年度)である今年度は、昨年度に予備的作業を行った日本の革新的中小企業のマネジメントに関わる3時点パネルデータの構築を図るための研究に主眼をおく。具体的には、これまでに再整理・更新作業を実施した日本の革新的中小企業の2時点パネルデータ(2006年調査と2010年調査)を用いて、3時点(2013年調査)での当該企業のマネジメントと経営成果の変化を追跡調査を通じて測定する。計画では、概ね100社以上の回収を予定しているが、追跡調査の方法による回収数が少ない場合は、ハガキや電話によるフォローアップ調査や訪問調査を実施して回収率を高め、実証分析に耐えうる質の高いデータ数を確保してリッチな経営革新企業の企業データベースの構築を目指す予定である。また、調査研究活動を通じて明らかになってきた中間的な分析結果について、国内外の当該分野に詳しい研究者との議論や、英国や米国での最先端の研究動向と照らし合わせる中で、本質的な議論を深めて発展させていくつもりである.そして、可能な範囲でこれまでの日本の革新的中小企業研究の総括を行い、国内外の学会や研究会で研究成果を発表していく準備を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の予算残額については、本研究最終年度に予定している経営革新企業への一連の3時点調査に予算が大幅にとられるため、その費用として使用を予定している.特に、調査票の回収作業に力を入れるために、郵送アンケート調査や訪問調査を試行するとともに、ハガキによる督促作業や電話やファックスによる督促作業を複数回繰り返すことを想定している.また、経営革新企業の3時点データベースの構築とそれを用いた解析作業と研究全体の総括に向けた研究打ち合わせの回数もこれまで以上に増加することが予想され、そうした物件費や交通費への費用にも備えている.
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