革新的中小企業のマネジメントの経時的変化に着目をして、その実態と特徴を分析することを本研究は意図しているが、初年度ならびに2年度においては、近年の先行研究の動向や経営革新企業の2時点調査データベースの再整理とデータマイニング等を主に実施してきた. 最終年度にあたる平成25年度には、前年度までの研究成果を踏まえて、日本の革新的中小企業の3時点パネルデータの構築と整備を行っている。具体的には、前年度までに点検、修正、再整備した第一次革新的中小企業2時点パネルデータサンプル(N=209)をベースにして、同一企業に対して追跡調査を実施した。調査方法は郵送アンケート調査とその後の郵送督促調査ならびに電話によるフォローアップ調査を採用している。その結果、有効回答数は123社、有効回答率は58.9%となった。過去から合わせて3度にわたる調査を通じて、革新的中小企業の2007年、2010年、2013年の戦略や組織のマネジメントに関わる量的な経営情報を入手することができ、さらにそれらのデータベースを整備することによって3時点におよぶ革新的中小企業のパネルデータベースを構築することができた。なお、調査票の設計に際しては、全3回ともほぼ同じ内容を採用し国内外の先行研究を踏まえて以下の8つの枠組みからなる81の設問を設けた。「I 基礎的事項(8)」、「II 経営環境(8)」「III 経営目標・経営戦略(18)」「IV トップマネジメント(22)」「V 経営資源・コアコンピタンシ―(7)」「VI 組織(3)」「VII 戦略姿勢(9)」「VIII 経営成果(6)」。今後、このデータベースを用いて革新的中小企業経営の経時的分析を試行していく計画である。
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