研究課題/領域番号 |
23530522
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
出水 力 大阪産業大学, 経営学部, 教授 (20330136)
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研究分担者 |
渡邉 輝幸 大阪産業大学, 経営学部, 准教授 (60388353)
遠原 智文 大阪経済大学, 経営学部, 准教授 (50369930)
石坂 秀幸 大阪産業大学, 経営学部, 教授 (50573698)
義永 忠一 桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (00351677)
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キーワード | 技術移転 / 海外生産 / ベトナム / 海外直接投資 / 機械工業 |
研究概要 |
ベトナムのハノイ周辺の日系企業の訪問調査を行い、デンソー、住友重機など28社を訪問した。その内のいくらかを紹介すると、ベトナム・入谷は大阪の富田林市に本社工場があるが、その実態は無いに等しい。海外生産は1993年に親企業の船井電機の誘いで中国に進出、ベトナムはキャノンの進出と歩調を合わせたもので、海外工場の規模は2000名を超えている。 大和プラスチックは古くからの樹脂成型製品のメーカーで本社工場は、堺市にある中小企業で、電気のブレーカーの絶縁体を得意とし、その親企業が1996年にホーチミンに進出した際に同舟した。その後の発展からハノイに特に大口の需要を期待してではないが工場を建設した。その時には、ホンダ、ヤマハという二輪メーカーの進出はなかったが、結果として大型の樹脂製品としてスクーターの外観のカバー類の仕事がライバル企業なく簡単に受けることで、今はベトナム3:日本1という風に海外生産の利益の方が多い。 TOTOは言わずと知れたウオシュレットのメーカーだが、技術のコア部分は陶器製の便器の質の高さにあり、ベトナムはアジアの拠点工場で、生産技術の基本は陶器と同じである。技術的な部分と技能に依拠した感の部分も大きな仕事で、トンネル窯を入れる際の方の置き方、焼けてからの目減りとその寸法公差の保持など、湿度の高いハノイではコントロールに気を使うらしい。 大企業は生産のグローバル化により日本からの製品輸出に代え、市場のあるところでの現地生産と、コスト安を利用し日本、欧米向け輸出され、得た利益は日本への配当、暖簾代という形で還元している。中小企業の多くは親企業の海外進出に合わせて出ないと注文が来ないという切迫感が見られた。いずれにしろFDIによる海外生産は避けて通れない時代になり、国内産業の空洞化の議論はむなしい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共同研究者である桃山学院大学の義永忠一の調査が遅れており、また研究代表者が本務校の大学院研究科長などの役が当てられ、海外に出にくなったことが、大きな要因であるが、後者の理由は本年度なくなり、平成25年度は無理無く予定をこなせる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である今年は、ベトナムの調査の残りとマレーシア、カンボジアなど同様に、日系企業の海外技術移転のスタンスで調査を行いたいと計画しており、場合によってはケニア辺りまで行動範囲を広げたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査費のほとんどは海外の渡航費と現地の宿泊・交通費に充当する積りで、若干の文具、USBメモリーなどの費用を予定している。
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