研究課題/領域番号 |
23530525
|
研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
安井 恒則 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (60098217)
|
研究分担者 |
高橋 由明 中央大学, 商学部, 教授 (10055212)
長谷川 治清 同志社大学, その他の研究科, 教授 (50388047)
守屋 貴司 立命館大学, 経営学部, 教授 (70248194)
奥 康平 阪南大学, 経営情報学部, 講師 (40549812)
|
キーワード | 日系企業 / 現地企業 / 経営の現地化 / 日本的経営 / 労使関係 |
研究概要 |
2年目となる平成24年度は計画に従い現地実態調査に比重を置いた。高橋、守屋、安井の3名で8月にタイ・バンコクの日本企業(タイオギハラ:自動車部品製造)と現地企業(イースターポリマー:プラスチック部品製造)を訪問し工場見学と経営者インタビューを実施した。前者では従業員対策として日本的な手法が適用されていることが確認でき、競争環境の厳しさを知らされた。後者については、中国系経営者の家族的経営の実態に触れることができ、本プロジェクトの狙いである比較の視点を得ることができた。続いて、ベトナム・ホーチミンに移動し現地企業2社を訪問し工場見学と経営者インタビューを実施した。建築材企業とプラスチック系衣料品製造企業である。前者では、従業員の経営参加の実態など日本企業と比較し大きな特徴を確認できた。後者では会社組織図を入手できその発展段階を知ることができた。 中国を主担している安井は中国に詳しい勤務校の洪教授を研究協力者に加え、7月に中国の日系企業2社を調査した。広州トヨタと深センのプラスチック部品会社である。両社とも次年度の本格的調査の対象で今回はそのための予備調査である。その後9月に領土問題の影響を受け、予定していた年度内2次予備調査は断念し、次年度8月に繰り越すことにした。 高橋は3月タイ自動車研究所を訪問し自動車部品企業の実態を調べ日本企業の置かれた経済的な背景や現地企業との連携・競争関係を明らかにできた。続いて、安井及び研究協力者として東アジアの中小企業に詳しい関准教授が加わりベトナムの衣料メーカーを訪問し工場見学と経営者のインタビューを実施した。ベトナムの経済発展の勢いを感じると同時に女性従業員の活躍についても印象的であった。これは日系企業との比較の視点となりうる点を確認できた。ベトナム商工会議所でもインタビューを実施し、政府との関係など独自の問題を抱えることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、タイ、ベトナム、中国の現地調査を実施できた。日系企業や現地企業にて経営者インタビューからいくつかの貴重な知見を得ることができた。ただし、難点としては、中国での調査が尖閣諸島問題で支障をきたした。最終年度に当たる平成25年度にこの面の遅れを取り戻す計画である。それに加え、自動車産業のみに限定することの難しさが判明したので、この点については軌道修正し関連産業まで含んで対象とする軌道修正を行っている。また、欧米系の企業については手掛かりが得られていないので最終年度の課題としたい。これまでに得られた研究成果は主坦者はじめ4名の分担者も学会報告、社会人対象講座などにて発表している。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成25年度は、前年度に続き現地調査を行うと同時に得られた調査結果をもとに成果の確認を行い、学会報告や学術論文として成果を確実なものとする準備を行う。とりわけ、前年度不十分であった中国での追加調査に力を注ぐ予定である。また、研究分担者である長谷川を中心として研究成果を英語で出版する準備を進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
主坦者安井、分担者高橋、守屋については次年度も現地企業調査に比重を置く。また、これまで現地調査で支出のない分担者長谷川、奥の両名も次年度は現地調査に加わり、比較的弱かった企業ガバナンスの面の研究を補強しまたアジア全体のビジネスの特徴の中での日系企業の位置の考察を充実させたい。書物や資料などへの物品費の支出や現地通訳などへの謝金費用も予定している。
|