研究課題/領域番号 |
23530526
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
玉田 俊平太 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (60312790)
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研究分担者 |
土井 教之 関西学院大学, 経済学部, 教授 (60098431)
安田 聡子 関西学院大学, 商学部, 准教授 (90376666)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | デジタル化 / モジュール化 / 価値づくり |
研究概要 |
近年、我が国の製品は、新興国の製品に対し、技術では勝っているのに事業において苦戦するケースが多く見られる。その要因の一つとして考えられるのがデジタル技術によるモジュール化である。デジタル化で技術が模倣されやすい環境下において、いかにコアな部分をブラックボックスとし、模倣困難なビジネスモデルとして優位性を確立するかが、我が国産業界の大きな課題と言える。 本研究では、研究対象分野としてマッサージという暗黙知的サービスをメカとソフトウェアでブラックボックス化しているマッサージチェア業界を採りあげ、経営学上の示唆を得ることを目的とする。 先行研究を渉猟した結果、自動車や家電などにおける日本企業の製品開発の課題は、ものづくり技術は優秀でも、顧客への価値提案が欠如していることが明らかとなった。製品開発を成功させるためには顧客への価値の提案が不可欠であり、この製品価値形成こそが、競争優位性を創出する重要な要因のひとつであると考えることができる。また、製品を企業の「知識の結晶体」と考えたとき、その知識部分は、市場における情報との接触・取捨選択、および、その情報をもとにした製品化プロセスにより形成されると考えることができ、競争優位性を持つ製品分野においては「情報から製品化」と「価値づくり」の両プロセスが相互に密着している可能性があるといえる。 マッサージチェアメーカー主要4社のうち、代表的な2社にパイロット的にインタビューを行った結果、「情報から製品化」と「価値づくり」の両プロセスを媒介していると考えられるのが、あるメーカーでは「個人」、別のメーカーでは「組織」であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は製品開発やモジュール化に関する代表的な文献を収集し、その読み込みを行うと共に、マッサージチェアメーカー主要4社のうち、代表的な2社にパイロット的にインタビューを行った。その結果、「情報から製品化」と「価値づくり」の両プロセスを媒介していると考えられるのが、あるメーカーでは「個人」、別のメーカーでは「組織」であることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
調査手法は、競争優位性をもつとされる複数の製品の開発メーカーに対してインタビュー調査を行い、その基本的なシステムを敷衍可能モデルとして確立することを目指す。取材などの質的研究を中心に証拠を収集し、多面的な調査により、製品開発における価値形成プロセスのモデル化を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
インタビュー調査のための旅費、宿泊費、日当等や、デジタル化やモジュール化や製品開発プロセスなどに関する文献の購入、データ処理のための機材の購入、有識者からの専門的知識の提供に対する謝金、テープ起しやデータ整理のための人件費、必要に応じ海外調査や学会発表のための経費などを予定している。
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