研究課題/領域番号 |
23530531
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
大竹 敏次 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 准教授 (00550378)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 信用情報機関 / リスク管理 |
研究概要 |
2011度の研究計画は、日米の個人信用情報機関を訪問し日米のリテール市場の環境を含めた類似点とその相違点を認識し定性的に調査し、日本のリテール市場と信用情報機関の役割について論文に纏める事であった。2011年8月に米国のトランズユニオン社、2012年1月に指定信用情報機関の株式会社日本信用情報機構を訪問し、信用情報機関の歴史的背景からデータ収集・種類、提供サービス、モデルの種類、リスク管理方法など、インタビューを通じて信用情報機関の役割及び機能を調査した。トランズユニオン社の訪問は企業の制約上、あまり有益な情報を得るに至らなかった。一方、日本信用情報機構の訪問は、取締役数名と長時間にわたり詳細を議論することができ、実務の情報を得るにはまたとない機会に恵まれ、障壁はあるものの研究以前に考えていた信用情報機関の役割やサービスの向上が日本にも必要である点が再認識できたことは大変意義があったと考える。また、日米ともにリスク管理を企業に提供していくためにも、新たな与信手法の開発が必要であり今後の研究予定と実務の必要性に答えることができるものであると確信した。以上の研究成果は、『日本のリテール市場と信用情報機関の役割-日米比較による今後の展望』のタイトルで定性的な調査論文として纏め上げ、全米をカバーする大手信用情報機関が進める信用情報以外のデータを入手して様々なリスク管理やリスク戦略のソリューションに応用している点からデータ保存や消費者サービスなど立ち遅れている日本の信用情報機関の役割を明らかにした内容を政策情報学会誌に2012年度内に投稿し出版する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日米のすべての信用情報機関を訪問することはできなかったが、米国のトランズユニオン社、日本の指定信用情報機関の株式会社日本信用情報機構を予定通り訪問しインタビューを実施することができた。また、調査結果を論文として纏め上げ投稿するに至っているためおおむね順調に進展していると考えている。2011年度中に作成予定であったホームページは、2011年度末より開発が行われており、2012年度前期には研究成果を開示する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は、リテール市場の企業側に焦点をあて、日米の無担保融資企業を訪問する予定であるが、企業の選定はネットワーク等を通じて、インタビュー数よりも質の高いインタビューができるようにしていく予定である。また、企業の与信戦略、回収戦略、モデリング等を調査していくため、本年度の定性的な研究から定量的な研究へと進めていく。2013年度は、信用情報機関、リテール企業、消費者の立場からどのようにリテール市場を活性化し、ビジネスモデルの再構築が可能か調査するとともに、2012年度から取り組む定量的な与信分析のモデルを提示したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
「収支状況報告書」の「次年度使用額」の合計欄が0円以外になっているが、予定していたホームページ作成企業の選定が年度末になってしまい、またホームページ作成企業がSNSを使用してホームページ作成を行うことになり数か月の時間がかかるため当該費用を繰り越す必要が生じた。次年度の研究費の使用計画は、米国のリテール企業の訪問1回(行先は未定)と日本のリテール企業の訪問数回(東京と大阪)を予定している。また、定量分析の英語論文を書く予定でありその場合の翻訳代と1年を通じて論文調査などの研究補助員の人件費、更に本年度の予算から購入したMATLABソフトの維持費を計画している。
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