本研究の最終年度に実施した研究の成果として、日本や米国におけるリテール企業の訪問や信用情報機関の調査を通じて、無担保融資に関わる資金需要者・資金供給者それらのデータを管理する信用情報機関の三位一体となった政策が必要である点を査読付論文にまとめることができた。 資金需要者には幅広い範囲でクレジットカウンセリングや金融サービス教育を提供する必要性があり、米国の全米消費者信用協会などの動向を参考に提示した。また資金供給者にはリスクに応じた新たな金利戦略や商品開発を行い、数理統計手法を駆使して様々な観点からリスクを数値化する仕組みを整える必要性をモデル開発例としてベイジアン手法を利用して提示した。更に、資金供給者の情報だけではリスクの精緻化に限界があるため、非信用情報の活用を目指して情報を整備し、信用情報機関が資金需要者と資金供給者の橋渡しとなることを推奨した。 研究期間全体を通じて、2本の査読付論文と1冊の書籍を纏め上げた。査読付論文はいずれも本研究の成果を直接纏め上げた内容となっている。一方、書籍は本研究を始める前に学部生や大学院生に理解してもらいたい金融リスクマネジメントの基礎を纏め上げた内容になっている。特に、大学のゼミ生や大学院の金融リスクマネジメント研究の生徒に献本する形で利用しており、間接的な研究成果を挙げているものと考える。 今後の研究の展開として、資金供給者と信用情報機関によるリスク管理に焦点をあてて、「頑強な無担保融資市場構築のためのリスク管理」について平成26年度より交付頂いた学術研究助成基金助成金により研究を進める予定である。
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