研究課題/領域番号 |
23530532
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研究機関 | 公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構 |
研究代表者 |
福山 圭一 公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構, 研究部, 専務理事兼研究部長 (30526885)
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研究分担者 |
川名 剛 (川名 剛) 公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構, 研究部, 客員研究員 (80567850)
宮井 博 (宮井 博) 公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構, 研究部, 客員研究員 (30601413)
谷本 奈丘 (谷本 奈丘) 公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構, 研究部, 研究員 (90567851)
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キーワード | 資金運用 / 年金 / 社会的責任 / 企業統治 / ESG / CSR / SRI / サステイナブル投資 |
研究概要 |
最終年度には運用会社アンケート結果の集計と分析を行うとともに、全体のまとめを行った。運用会社では、年金資金によるESG投資は発展の可能性が高いと見られているが、実施するには年金基金側からの指示が必要と考える向きが多いことが分かった。年金基金の姿勢は総じて前向きではなく、現時点では直ちに具体的な進展を見込むことは難しい。 サステイナブル投資の世界の市場規模が13兆5,680億米ドル(うち日本は100億米ドル)であるとのレポートが2013年に公表された。世界的に見て日本は低調だが、日本の企業においてCSR活動は当然のこととして取り組まれていること、日本人の環境や社会問題などに対する意識が低いとも考えられないので、今後大きく発展する可能性はある。人口の少子高齢化といった問題もあるので、単に自然体で待つだけでなく、国民意識の喚起・醸成に資する活動も必要である。 法的・実践的課題として、受託者責任との関係を整理すること、年金基金や投資先企業のガバナンスについて考察すること、非財務情報についての開示について国際的な動向を注目していくこと、海外の年金SWFについて検討することなどが重要である。これらについて法的・規範的関係を分析し、あるべき制度的枠組みのあり方を検討した結果、共通して言えることは、ソフトローの役割、”Comply or explain”の利用、自主性の重要性である。 投資パフォーマンス上の優位性については論争があるが、本研究で実施した定量分析においては、CSR活動が株式パフォーマンスに一定の効果を及ぼすことがわが国の株式市場でも確認できた。企業のCSR活動と企業価値とのリンク、企業価値向上と企業を取り巻くステークホルダーとの関係、定量分析における企業の社会的パフォーマンス(CSP)と財務的パフォーマンス(CFP)との因果関係の解明、長期的なデータ蓄積などが課題である。
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