研究課題/領域番号 |
23530533
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
保田 宗良 弘前大学, 人文学部, 教授 (20230229)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 地域医療 / 医薬品卸 / 調剤薬局 / ドラッグストア |
研究概要 |
地域医療の質的向上を図るためには、先行研究で明確にされつつある、医療機関の自助努力、地域医療を考える会の活動の把握に加えて、的確な医薬品流通システムを構築する必要がある。個別の研究は精緻化されつつあるが、これらを総合的な面で捉えた研究は不十分であり、研究の目的は、医療マーケティングのキーワードである顧客満足度の向上を中心に地域医療のシステムの設計を図ることとしていたが、初年度の平成23年度は多方面にわたる文献研究、文献では不明な部分の聞き取り調査により、研究実施計画である仮説構築のための理論整備が進み、定量面からの実証研究に踏み込めるようになった。このことは大きな意義があると考えられる。 医薬品卸の史的考察、現場への聞き取り調査から、地域医療の質的向上と医薬品卸の生き残り戦略は一致したものであり、患者満足度を高めることは医療機関と医薬品卸の共通目標であることが把握できた。そのために無料の医療機関への経営支援を行っていることが確認できた。 ドラッグストアは、改定薬事法施行以降、登録販売者を常駐させているが、彼らの継続教育、顧客への健康相談が重要であることが、聞き取り調査で明確になった。医療モールの設計をビジネスモデルとしている事例も確認し、地域医療の質的向上が、ドラッグストアの差別化戦略になっていることが明確になった。調剤薬局併設型のドラッグストアは、更に大きな貢献が求められている。 以上の研究の諸成果は、研究ノートと2回の学会報告で明確にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、地域医療の質を向上させるためには、どのような医薬品流通システムを構築すれば良いかを総合的に考察し、先行研究の乏しい分野を面で精緻化することにある。医薬品卸やドラッグストア、調剤薬局研究は散見されるが、それらを総合的に面で把握した先行研究は、十分とは言い難い。文献研究、聞き取り調査により、こうした問題意識を明確にするための定量・定性両面からの実証分析の基礎固めが完了し、研究ノートの執筆、2回の学会報告で今後の課題が明確に定まったので、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方針は、平成24年度は研究実施計画にある医薬品卸、調剤薬局、ドラッグストアに対するアンケート調査を前半に実施することが基本となる。地域医療の質的向上、顧客満足を図るために可能な方策を問うことを骨子とする。質問票は、各組織の担当部署に送付し、理想的な地域連携のあり方、問題点を網羅し回答を促す。 後半にアンケート調査のデータ入力及び分析を行い、分析に関しては医薬品卸、調剤薬局、ドラッグストアごとの意識の差の比較考察を進め、仮説の第1次検証を行う。前半に実施したアンケート調査により詳細な実態調査が必要な場所を確定し、聞き取り調査を進める。検討課題の把握のために学会報告を数回行う。 平成25年度は、平成24年度の進捗状況を鑑みて決定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
設備備品費 150(千円) 初年度の経過から基礎的な文献、アンケート処理のソフトが不足していると判断した。 国内旅費 330(千円) 東京3日間×2回、名古屋3日間×1回、大阪2日間×1回、福岡2日間×1回 国内旅費は、聞き取り調査が東京、名古屋、福岡が各1回、学会報告が東京、大阪各1回を計画している。 通信費 20(千円)
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