研究課題/領域番号 |
23530543
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
新井 範子 上智大学, 経済学部, 教授 (50286134)
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キーワード | コンテンツ消費 / 2次創作 / ユーザーイノベーション / ソーシャルゲーム / エンターテイメントマーケティング |
研究概要 |
今年度は、コンテンツ消費の中でも、音楽の消費とゲームの領域での実証的な研究を行なった。音楽の消費は、店頭での意思決定ではなく、同じ対象についての消費が継続的に行われると考えられる。よって、リレーションシップマーケティングの枠組みを使って、消費対象者にたいするコミットメントの違いによって、消費行動やりテンションの意思が違うのかを明らかにした。 実証研究は、特定の音楽のアーチスト3組のファンを対象に合計900名を対象とした質問紙調査によって行なった。その結果、対象への関係性の継続年数によって、消費行動が大きく違うことがわかった。また、対象へのコミットメントの違いによって、消費行動やその後の消費の継続意思に影響を及ぼすことがわかった。 また、ゲームの消費についての研究であるが、今、広まっているweb上の課金型のソーシャルゲームにおいてなぜ課金するのか、また、課金する行動にはどのような特徴があるのかを質問紙調査と、ゲームサイトへのアクセスログの分析の両方から解明した。 ゲームへの課金は、現実生活への満足によって課金行動が異なることがわかった。現実行動への不満や満たされなさがゲームへの課金に向かわせていることがわかった。 また、アクセスログの解析により、ゲームへの課金者は、継続的かつ規則性のあるログインや行動をとっていることがわかった。日常生活においてゲームがルーティン化していることにより、課金行動へとうつることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既存研究のレビューやまた質問紙調査やアクセスログの解析など量的や客観的なデータの分析は音楽やゲームなどの分野において、すすめることができた。 しかしながら、消費分野の研究は進んでいるが、この研究のもう一つの軸である「消費者発のイノベーション」や消費者参加についてはまだ文献研究しか進んでいない現場である。 次年度はフィールドワークや事例研究に進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、コンテンツ消費のフェーズから消費者発のイノベーションや消費行動を主にフィールドワークによって探っていく。インターネット上の消費者生成コンテンツのサイトや、実際のコンテンツのイベント、また、2次創作の現場などをフィールドワークやインタビュー調査といった質的な調査方法によって探っていく。 さらに、今までの研究によって得られた結果と合わせて、コンテンツ消費およびその領域における消費市場の活性化についての理論化を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
フィールドワークが主となるので、交通費や記録用のメディアなどが中心となると思われる。 また、得られた結果を広く検証することが必要になった場合は、量的な調査による検証が必要となるために、モニターを使ったWEB上でのアンケート調査を実施する予定である。
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