本研究の目的は、ダグラス・クレイグ(1995)のいうところの現地化段階に焦点を絞った小売国際化研究のうち、我が国において従来ほとんど研究がなされてこなかった、アジア、アフリカと並ぶ新興市場ラテンアメリカにおいて新規業態開発志向の戦略を採用し、従来のモデルとは異なる新興市場モデルを構築しつつあるウォルマートの戦略を具体的に検討することによって、新興市場において更なる発展が期待される新たな形態の新規業態開発志向戦略モデルを具体的に提示することを目的している。 本年度は前年度に日本商業学会発行の学会誌『流通研究』に掲載された、新規業態開発志向戦略モデルの構築を行った論文「ウォルマートの創造的な連続適応型新規業態開発志向現地化戦略」の内容をベースに構築した理論と前年度行ったブラジル及びアルゼンチンの現地調査の内容を踏まえて、『ウォルマートのグローバル・マーケティング戦略』を執筆し、2013年10月に創成社より出版した。 また、研究実施計画通りに、8-9月には中米地峡市場4か国(グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア)を現地調査し、ウォルマートのメキシコで開発された新規開発業態の移転の現状を視察し、現地ウォルマートの幹部、現地取引業者、現地の小売専門家並びに現地消費者に対するインタビューを行い、メキシコで開発された新規開発業態の移転の現状を確認した。 なお、中米地峡市場現地調査は2回行う予定であったが、研究計画作成時に比べて中南米、特にアルゼンチンのインフレ率が高く、予算が不足したたため、最終年度は1回とした。
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