研究課題
最終年度にあたる本年度の研究実績の概要は、以下の3点に整理することができる。1つは、これまでの2年間にわたる研究の総括として、消費者の業態認識に関する統合的な理論モデルを開発した点である。消費者は、多様な形態をもつ業態カテゴリーについて、その原型となる構成要因として、「プロトタイプ」「エグゼンプラー」「エグゼタイプ」という抽象水準の異なる認知表象をもち、これらの認知分布に基づき、業態ならびに業態内外の連続性を認識していると考える理論モデルを提唱した。2つ目は、消費者の業態に対する行動パターンに関する認知構造体として考えられる「スクリプト」を通じて明らかにしようと試みた点である。具体的には、まず、業態とスクリプトに関する理論を整理し、その後、研究の立ち位置と仮説的視点を設定した。次に、食品スーパーを対象とした消費者に対する定量調査を行い、ネットワーク分析を応用し、上記の仮説を検証した。この結果から、食品スーパーはコンビニエンス・ストアとは大きく異なる明確な行動パターンを持っていること、利用頻度の違いや来店前の行動パターンの違いにより、立ち寄る売場が異なることなどが明らかになった。本調査を通じて、消費者はスクリプトという行動パターンの認識を通じて業態を把握していることが実証でき、そしてそれを流通企業の戦略にも応用可能であることを成果として残すことができた。3つ目は、上記2つの研究成果を「消費者行動研究と流通研究の懸隔」を埋めるべく、革新的な研究領域であることを示すために、さらに、小売マネジメントへの戦略的なインプリケーションを提供するために、日本消費者行動研究学会での2回の報告、日本商業学会の学術誌である『流通研究』、日本マーケティング学会の学術誌である『マーケティングジャーナル』において研究成果として掲載することができた点である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
マーケティングジャーナル
巻: 33(4) ページ: 43-56
流通研究
巻: 16(2) ページ: 49-75
Journal of the University of Marketing and Distribution Sciences: Distribution Sciences & Business Administration
巻: 26(2) ページ: 75-95
日本香粧品学会誌
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